プロサーファー 福谷周子さん(後編)

いつも波が違う。見える景色が違う。出会う人が違う。 サーフィンの魅力をたくさんの人に伝えたい。 TEXT by 鈴木麻由美 PHOTO by 菊池陽一郎

高校時代からサーフィン一筋!(前編) プロサーファーとして活躍後、サーフィンの魅力を伝えたいと、昨年から自身のサーフィンスクールを開校しました。

初心者でも、年齢が高くても大丈夫!

—  昨夏、ご自身のサーフィンスクール「FUNBee(ファンビー)湘南」を開校されましたね。

福谷♣ プロになったときから、スクールのインストラクターをしていました。サーフショップに所属していたので、そのショップに人を集めて教えるという形です。湘南だけでなく、千葉やもっと遠くまで教えに行くこともありました。
ただ、子どもができてから、遠出がしにくくなって。それで、自宅まで来てもらい、家の近くの辻堂か茅ヶ崎あたりの海で教えようということになり、開校したんです。このあたりは比較的、波が穏やかなので、初心者には向いていますしね

—  どのようなスクールなのですか。

福谷♣ 初心者から、もっとレベルアップしたい人までが対象です。原則女性のみですが、親子やファミリーのクラスには男性も受け入れています。一日から参加でき、おけいこごとのように続けて通うこともできます。

—  どのような人が来ていますか。

福谷♣ 平均年齢層は30代くらいですが、40代、50代、もっと上の方もいますね。お仕事をしている方はもちろん、主婦の方も多いです。

—  初心者でも、年齢が高くても、波に乗れるようになりますか。

福谷♣ はい! 波に乗りたいという気持ちがあれば、一緒に頑張るので乗れると思います!!

—  レッスンは、どのようなところから始めるのですか。

福谷♣ まず、陸の上でボードの上に寝そべってもらい、こんなふうに乗りますよ、1、2、3で立ちますよ、という形を体で覚えてもらいます。イメージトレーニングですね。
そして、海に出たら、ボードの上に乗ってもらいます。ふつう、浮き輪以外のものに乗ったことってありませんよね。思っている以上に不安定でゆらゆらするので、みなさん体が緊張でこわばってしまうんですね。だから、ボードに乗ったまま波とたわむれ、リラックスしてもらいます。
それから波に乗る練習をしますが、最初はどの波に乗れるかなどわからないと思うので、私がそばについて、波を見極めて、押します。立つ練習は、私が「パドリングをして~!」と言ったら水をかく動作をして、次に「立って~!」という声が聞こえたら1、2、3と陸でイメトレした動作をすると、波に乗れるという感じです。
一度でも乗れれば、もう楽しくなって、サーフィンが好きになるはず! スクールでの体験を通じて、少しでもたくさんの人にサーフィンの魅力を女性目線で伝えていけたらなあと思っています。

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湘南の海は、比較的波が穏やか。「物足りないと感じる人もいるかもしれませんが、初心者がサーフィンを始めるにはぴったりだと思います」

二度と同じ波に出会えない

 サーフィンのどこがそんなに魅力的なのですか。

福谷♣ いつも波が違う。季節によって見える景色が違う。二度と同じ波が来ないということにも、大自然の魅力を感じます。自然を身体いっぱいで感じることができ、波に乗ったときはもちろん、海の上に浮いているだけでも、自然と一体になれる感じが大好きです!

 自然相手ということで、危険もありますよね。

福谷♣ まず、準備体操は欠かしません。体全体をほぐしてから、海の中に入ります。
ほかの人と接触するのも危ないですから、間隔を十分に取ったり、順番を守るようにしたり、マナーについてはきちんとお話しします。
それと、クラゲなどいくらこちらが気をつけていてもあちらから来る危険もありますから、ウエットスーツは必ず着ていただくようにしていますね。そう、女性はとくに日焼けの問題もありますし、グローブやブーツなどもおすすめしています。

 サーフィンをしていて、つらいと思ったことはないですか。

福谷♣ ないですね。波が大きくて、なかなか沖に出られず、苦しいと思うことはあるけれど、それを乗り越えて波に乗ったときの喜びのほうが大きいですから。

 行き詰まったことも、一度もない?

福谷♣ おかげさまで、サーフィンを始めてからずっと、楽しい、楽しいとやってきました。妊娠しても海で遊んでいましたし、産後1か月でもう乗り始めました。S_20150727_interview_27_photo02_new

まずは気軽にチャレンジしてみて!

 まったくの初心者で、サーフィンをやってみたいという人にアドバイスをお願いします。

福谷♣ 「怖い?」「危ない?」「深いのだめ!!」と思っていませんか? 怖いと思っている波がどうしたら怖くなくなるかを教えますし、危ないことを回避できるためのアドバイスもします。そして、スクールする場所は遠浅で足は必ずつきます!
ほとんどの方が1人で来られているので、1人参加は不安という方も安心してください。一緒に参加した方と海友(うみとも)になられたりもしています。
用意していただくものは、タオルと水着とビーチサンダル。あとは全部レンタルできます。辻堂駅からの送迎サービスもあるので、ぜひ海へ遊びに来てください!

 初めてサーフィンを体験された方は、どんな感想をもちますか。

福谷♣ いままでにない感覚だって言う方が多いですね。今日、体験された方は「海に入ると、海のことしか考えないので、日ごろの悩みが全部吹き飛んでしまう」とおっしゃっていました。
サーフィンは、人との関係はまったくなく、海と自分が対峙するスポーツ。日ごろ、人間関係などでストレスの多い方にはおすすめかもしれません。

 お話を伺って、なんだかサーフィンがやってみたくなりました。すてきなお話をありがとうございました!

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自宅にてスクールを開校。「サーフィンをしてみたいという人が、一歩踏み出せるきっかけになれる。そんなスクールをめざしています」

First Posted : 2015.7.27 on "clover&"

PROFILE

福谷 周子 [ ふくたにしゅうこ ]

JPSA公認プロサーファー。
1974年生まれ。高校時代からサーフィンを始め、アマチュア時代には全日本選手権優勝、世界選手権ブラジル大会にも出場。プロ転向後、国内JPSA(Japan Pro Surfing Association)、海外WQS(World Qualifying Series)を転戦、ショートボード女子2009年総合4位。2002年からレディース向けのサーフィンスクールを開始。2014年、自宅にて、サーフィンスクール「FUNBee(ファンビー)湘南」を開校。
http://funbeesurf.com/

〈近況〉ブログ:ファンビー湘南サーフィンスクールのブログ


writer’s profile

鈴木麻由美 女性のライフスタイル全般および育児・保育・教育関係を中心に取材・執筆。

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