vol.34
ラブ・アクチュアリー 上原千都世クリスマスを5週間後に控えたロンドン。イギリスの若き首相は就任早々、秘書に一目ぼれ。弟に恋人を奪われたミステリー作家は、傷心旅行に出かけた南仏でポルトガル人のメイドに恋をします。最愛の妻を亡くしたダニエルは、妻の連れ子である11歳の息子サムの恋を全力で応援、熟年夫婦の妻カレンは夫ハリーの浮気疑惑にかられ、ハリーの部下サラは同僚へ長年思いを伝えられず……。クリスマスに向けてそれぞれの愛と人生の行方はどうなっていくのでしょうか?
クリスマス直前のロンドンを舞台に、総勢19人の登場人物が織りなす愛の物語。年齢も職業も人種も違う人々の家族、恋人、同僚や友人同士などいくつものエピソードを同時進行させることで、愛することの素晴らしさ、そして自分の周りには実は幸せがたくさん転がっている! ということに気づかせてくれます。
嫉妬から大胆な行動に出てしまう独身のイケメン新首相。言葉の通じないメイドに愛を伝えるためポルトガル語の勉強にはげむ作家。学校いちの人気者への恋心に悩む11歳の少年と、彼を全力で応援することで親子の絆を深めていく義理の父。いけないとわかっていても友人の新妻に惹かれてしまう青年。そんな“男子”たちの不器用な愛情表現がいじらしくも切なくて。
クリスマスにカムバックを果たそうとする老いぼれロックスター、浮気疑惑に揺れる熟年夫婦、2年以上同僚に思いを募らせるOL……。きっと誰かひとりは「わかるわかる!」と共感できるキャラクターに出会えるはずです。
群像劇を見慣れていない方は、最初はキャラクターを把握するまでちょっと忙しいかもしれません。でも全然関係ないと思っていた人物が“店員と客”という形で同じ場所にいたり、同じ会場でクリスマスイベントを楽しんでいたり、隣の家に住んでいたり、空港でスレ違ったり、とそんなシーンを見るたびに、“自分とスレ違っただけの人にもそれぞれの想いや人生があるんだなあ”としみじみと感じさせてくれるのです。あったかい想像力が膨らんで、心が豊かになっていきます。
冒頭のセリフ「Love actually is all around」=実際のところ、世の中には愛が満ちあふれている、という言葉そのままに愛と幸せがいっぱい詰まった作品。日本のヒットドラマでも使われたマライア・キャリーのラブソング「恋人たちのクリスマス」など思わず口ずさんでしまう懐かしい劇中歌も満載! 観終わったあと誰もが笑顔になれる、クリスマスシーズンには繰り返し見たくなる映画です。
First Posted : 2015.12.1 on "clover&"