カヌーインストラクター 後藤めぐみさん(後編)

川面でパドルを握れば、何もかも忘れて夢中になれる。 リバーカヤックは、最高のリフレッシュ。 TEXT by 鈴木麻由美 PHOTO by 菊池陽一郎

大人になってから始めても、十分に上達できるリバーカヤック(前編)。後藤さんがリバーカヤックに出会ったのも20代半ばだそうです。

会社勤めの傍ら始めたカヤックに、すっかりはまり……

—  後藤さんご自身は、いつどのようなきっかけでカヤックを始めたのですか。

後藤♣ 大学を出て、グラフィックデザイナーとして会社勤めをしていたときに、趣味で始めました。24歳のとき、デパートのスポーツ用品売り場でカヤック体験のチラシを見て、「おもしろそう」と気軽に参加してみたのがきっかけです。すっかりはまってしまい、週末ごとに埼玉県秩父の長瀞(ながとろ)に漕ぎに行くようになりました。年間80日は漕いでいましたね。

—  カヤックのどこにそんなに魅せられたのですか。

後藤♣ 水の上から見る、ふだんは見えない景色のおもしろさ。毎日変化する川と向き合う楽しさ。
あと、実は私は学生時代まではインドア派で、運動神経には自信がなく、体育の授業も苦手でした。それが、はじめてカヤックを漕いだときに思いのほか上手にできて、まわりの人にほめられたのも嬉しかったんです。

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「グラビティ」は、JR青梅線沢井駅から歩いていけるところにある。目の前の川の流れは穏やかで、初心者の指導には最適。

都内から電車で来られるのも魅力

 趣味として楽しんでいたカヤックを仕事にするまでの経緯を教えてください。

後藤♣ グラフィックデザインの仕事も好きで始めたので楽しかったんですが、バブルが崩壊し、仕事が先細りに。そんなころ、通いつめていた長瀞のスクールから「手伝ってくれないか」と声をかけていただき、インストラクターに転職しました。選手として競技にも参加しながら7年間勤め、1997年にグラビティを立ち上げ独立。いまに至ります。

 スクールの場所として、奥多摩を選んだのはなぜですか。

後藤♣ 私が通っていた長瀞には、すでにスクールがいくつかあったので候補から外しました。奥多摩にはスクールがなかったのと、都内からのアクセスがよかったので。
当時は釣り人が多く、場所を分け合わなければならないので少しやりにくかったんですが、釣り人の高齢化で数が少なくなってきたのと、カヌーやラフティングの数が増えてきたのとで、最近はだいぶやりやすくなりました。

 電車で来られるのがよいですね。

後藤♣ 田舎だとみんな車を持っていますけど、都内の人、とくに女性は車を持たない人も多いので、駅から歩けることは大きなポイントでした。実際、電車で来る人がほとんど。これほど多いとは思いませんでした。

 どちらから来る人が多いのですか。

後藤♣ 東京、神奈川が多いです。北海道や京都から来る人もいます。遠方の場合は、クラブハウスに泊まることもできますよ。

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スリル満点の川下り。「ほかのことは何も考えずにすむので、仕事や生活のストレスが吹き飛ばせる、という生徒さんは多いです」。

毎日、カヤックを漕いでも飽きることはない

 いま、後藤さんはどのように毎日を過ごしているのですか。

後藤♣ 毎日、朝6時ごろ起き、事務処理やブログの更新などは朝のうちにすませます。それからのんびりと本を読んだりして、スクールがある日は8時半ごろから準備をし、9時から講習開始。講習が終わったらまたのんびりし、夕ごはんを食べたらまた本を読んだりして、またまたのんびり(笑)。

 理想的な生活ですね。

後藤♣ ええ、おかげさまで。好きなことを仕事にしているから、毎日が楽しい! あ、仕事がなくても、毎日カヤックは漕いでいますよ。飽きることはありません。

 これからさらに挑戦してみたいことはありますか。

後藤♣ 私と同じ時期に始めた仲間の年齢層が高くなってきているので、できるだけ長く続けてほしいという思いがあり、このたびジョギングの代わりにカヤックを漕ぐようなイメージで気軽にカヤックを楽しめる場所を作りました。これから暑い時期になると本業の方が忙しくなるので、涼しくなったら本格的に始動させたいと思っています。

 これからカヤックを始めてみたいという人に、最後にひとことお願いします。

後藤♣ カヤックは一人でも楽しめるのがいいところ。スクールにも一人で来ている人は多いので、やってみたいと思ったら、ぜひいらしてみてください。大人になってから新しい友だちをつくるのはなかなかむずかしいけれど、同じ趣味を持つ者同士、あっという間に仲間ができますよ。

 お話をお聞きしていて、ぜひ一度リバーカヤックを体験してみたくなりました。すてきなお話をありがとうございました。

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カヤックと趣味の読書に明け暮れる日々。「毎日、幸せです!」。

First Posted : 2015.7.13 on "clover&"

PROFILE

後藤 めぐみ [ごとうめぐみ]

山梨県出身。文具メーカーにグラフィックデザイナーとして勤めていたときに、リバーカヤックと出会う。その後、埼玉県秩父の長瀞でカヌースクールを手伝いながら、フリースタイル競技に参戦。アメリカ、ドイツの世界大会出場、1994年ドイツ開催プレワールド大会で女子7位。1997年多摩川上流(東京都青梅市)に「gravity(グラビティ)」を設立。
http://gravity-jp.com/

〈近況〉ブログ:グラな日々


writer’s profile

鈴木麻由美 女性のライフスタイル全般および育児・保育・教育関係を中心に取材・執筆。

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