皮膚科医 小林しのぶさん(後編)

同窓会に行きたくなります! 自分へのごほうびに、美容皮膚科へ。 TEXT by 鈴木麻由美 PHOTO by 遠崎智宏

前編では、美容皮膚科で行われている治療や患者さんについての話を聞きました。後編では、一般の皮膚科医として勤めていた小林さんが美容医療の道に転身したきっかけや、美容医療に携わることで確信した最強のスキンケアについてお話しいただきます。

新宿皮フ科と出会い、美容医療の道へ

— 大学を卒業後、はじめは一般の皮膚科医としてご経験を積まれたんですね。

小林♣ はい。大学病院で研修後、一般の皮膚科医として何カ所かの病院に勤めました。
私って医者が天職なんですね。毎日が楽しくてしかたがなかった。というのも、私は学ぶことが大好きなんですね。その点、医学って日々進歩してますので、学ぶことがたくさんあるんです。
たとえば、爪の水虫。私が大学で勉強していたころは、これは治らない病気でした。ところが数年前に飲み薬が出て、治るのが常識になった。半年くらい前には、塗り薬もできた。
患者さんから教わることも多いです。たとえば、先日は患者さんから「先生、手に塗り薬を塗ったら手袋をするといいっておっしゃってたけど、手袋よりビニール袋がいいですよ」と教わりました。試してみたら、本当に荒れていた手がつるつるになりました。

— 皮膚科医としてやりがいを感じていた小林さんが、美容医療に興味を持ったきっかけは?

小林♣ 10年くらい医者をやっていると、自分から動かないかぎり、学ぶ機会って減ってくるんです。そこで、病院に勤めながらも、新しい知識を得たいということで、いろいろな病院で経験を積ませていただいていました。
あるとき、こちらの新宿皮フ科を紹介されて、週に1度という形でアルバイトに入ることになりました。初めてこちらに来たとき私、衝撃を受けたんです。治らないとされている白斑を院長独自の方法で治していることに。そして、ふつうは大きな大学病院にしかない白斑治療専門の機械が10台以上もあることに。なんて素晴らしいの! ここで働きたい! と強く思いました。
院長と話してみたら、ものすごく気が合って。「やる気があるんなら、週に1度と言わず、毎日でも来ていいよ、明日からでも来ていいよ」と。それで私、本当に翌日から空いている時間は全部、来ました。そして、しばらくして院長に誘われ、常勤になりました。
私ははじめ、一般の治療をやるつもりだったんですね。ところが院長が、一般の治療は自分でできるから、君は美容医療をやったらどうか、と。びっくりしたんですけど、新しいことに挑戦するのは大好き。全部、私に任せてくださるというので、思い切ってこの道を追求してみることにしたというわけです。

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手先が器用な小林さん。トールペイントやカゴ編みなどの趣味にもチャレンジしてみたが、「やっぱり私は仕事がいちばん好き」。

ワセリンが最強のスキンケア

— 美容医療の道を追求している立場として、30~40代の女性におすすめのスキンケアを教えてください。

小林♣ まず、顔は水で洗ってください。お皿をお湯で洗うと手がボロボロになるけれど、水だとそうでもない。顔も同じです。
そして、年齢がいくほど自分で潤す力が失われてきますから、できるだけ石鹸は使わないように。こすりすぎもよくありません。お化粧はしっかり落としたほうがいいですが、お化粧をしていない朝などは水だけで洗うことをおすすめしますね。
洗ったあとは、保湿をしてください。高級な化粧品は必要ありません。長年、皮膚科医として数々の化粧品トラブルに出合ってきました。そうすると、高級なものほど、トラブルになることが多いんです。それで私自身は、ワセリンを愛用しています。ワセリン、いいですよ! アレルギーになることもないですし、いちばん浸透するし、お値段も数百円と安い。あとは、上質なオリーブオイルなどもいいですね。
そして、できるだけ太陽を避けること。太陽って、肌にとっていいこと、ひとつもないんです。シミやシワの原因になりますので、日焼け止めを塗るのはもちろん、太陽が出ている時間はなるべく外を歩かないようにしてほしいですね。どうしてもというときは帽子やサングラスでしっかり防備して。私は子どもにもつばの広い帽子をかぶらせるようにしています。

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忙しくてもできるだけ時間をとって、スタッフとコミュニケーション。「人にはいっしょうけんめい向き合うことが信条」。

人とのコミュニケーションで癒される

— 休日などプライベートな時間は、どのように過ごされていますか。

小林♣ 家でじっとしていることは、まずないですね。私は人とのコミュニケーションで癒されるタイプなので、人と会っていることが多いです。心許せる友人と食事をしたり、あとは学会や勉強会などに参加することも多いですね。外に出ていくと、いろんな人に出会えますから。
人って、一人ひとりみんな違う意見を持っているので、本当に学ぶことが多いです。仕事の話じゃなくても、たとえば子どもの話でもいろんな意見があるのでおもしろい。
病院のスタッフとも積極的にコミュニケーションをはかるようにしています。お互いにいろいろな話をすることで分かり合えるようになりますし、そうするとどんどん職場環境がよくなりますから。

— お忙しい毎日の中で、健康のために心がけていることを教えてください。

小林♣ なるべくたくさん歩くようにしています。歩いて脚の筋肉を鍛えるのはもちろん、歩くと頭の中がすっきりするのがいいですね。たいてい治療のことを考えていますが。いつも明日の治療を今日よりよくしたいと思っているんです。

— 本当にお医者さまが天職なのですね。今日は興味深いお話をどうもありがとうございました。

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小林さんが手にしているのは、シミやソバカス、たるみなど肌の悩み全般に使える「光治療器」。

First Posted : 2015.2.9 on "clover&"

PROFILE

小林しのぶ [ こばやし しのぶ ]

新宿皮フ科副院長。2003年東海大学医学部卒業後、北里大学皮膚科学教室、独立行政法人国立栃木病院、下都賀総合病院を経て、2014年1月より新宿皮フ科勤務。

〈近況〉2015年9月に新規オープンの、高輪皮膚科・形成外科の理事長兼院長に就任。オフィシャルサイト:Dr. Shinobu Official WEB


writer’s profile

鈴木麻由美 女性のライフスタイル全般および育児・保育・教育関係を中心に取材・執筆。

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