皮膚科医 小林しのぶさん(前編)

同窓会に行きたくなります! 自分へのごほうびに、美容皮膚科へ。 TEXT by 鈴木麻由美 PHOTO by 遠崎智宏

皮膚科医として、大学病院などにおよそ10年勤めた後、美容医療の道へ。シミやシワ、たるみなど女性の悩みを解決すべく、日々奮闘している小林しのぶさん。豊富な臨床経験を活かし、たくさんの女性をキレイにしあわせにしています。「肌に悩みを抱えている女性に、美容皮膚科は絶対におすすめ! 自分へのごほうびにいかがですか」。

肌の悩みを、医学的根拠に基づき確実に治す

— 美容皮膚科とは、どういうところですか。

小林♣ 美容皮膚科は、病気ではない、たとえばシミやシワ、たるみなどの肌の悩みを医学的根拠のもとに必ず治すところです。
美容皮膚科の治療は、病気の治療の副作用が生かされているんです。たとえば、シワ治療などに使われるボトックスは、もともと顔面けいれんの薬なんです。病気の方に使ってみたら、顔面けいれんに効くと同時に、シワが伸びた。あ、これは美容にも使えるということで、美容に使われるようになったんです。
プラセンタの点滴は、更年期障害や肝機能障害という病気の方のための薬です。でも、使ってみると元気になるし、二日酔いもよくなる。そこで、美容にも使われるようになったんですね。
まつげが伸びる薬も、緑内障の治療薬です。それが、使ってみたらまつげが伸びる。右目だけ使ったら、右目だけ伸びる。それで、まつげを伸ばしたいときに使われるようになったんです。
こうした薬は、厚生労働省認可の薬だから安全です。こうした薬を使って、確実な美容が行えるというのが美容皮膚科なんです。

— シミやシワ、たるみなど、必ず治すことができるのですか。

小林♣ たいてい治りますし、少なくとも改善します。もちろん、生まれたての赤ちゃんの肌に戻すことはできませんが、明らかにキレイになります。
たとえば、シミですが、患者さんが「シミ」と考えているものは老人性色素斑やそばかす、肝斑などいろいろな種類があるんです。それぞれ治療法も違う。そこで、ひとつひとつきちんと診断し、これはそばかすだからこういう方法をとろう、これは老人性色素斑だからこういう方法をとろう、など考えて治療を開始します。たいていの「シミ」は、メラノサイトという細胞に色素が増えている状態なので、レーザー等で破壊すれば確実にとれます。ただ、肝斑だけはむずかしい。肝斑というのは、みなさん潜在的に持っているもので、それが炎症を起こしている状態です。炎症だから、レーザーで熱をあてたりしたら爆発してしまう。塗り薬や飲み薬で落ち着かせる方法をとるしかありません。だから、いったん落ち着かせても、また出てきてしまうことはあります。

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「一般の皮膚科医としての経験が美容医療にもおおいに生かされている」と話す小林さん。

治療すると、確実にキレイに

— 患者さんは、どんな方々ですか。

小林♣ 主に20代から60代までの女性です。20代の方はニキビ、30代以降はシミ、シワ、たるみなどのご相談です。子育てを終えて、ようやく時間やお金を自分のために使えるようになった40~50代の方が多いですね。
治療すると確実にキレイになるので、みなさん「同窓会に行きたくなった」と(笑)。とくにたるみ治療のヒアルロン酸注射などは、注射を打ったその瞬間に若返るので、感動的です。ご本人が喜ぶのはもちろん、待合室で待っていた家族からも「ワーッ! ママ、きれい!」と歓声があがり、そんなときは私もしあわせな気持ちになります。
興味深いのは、次にいらっしゃるとき、服装まで違っていることです。治療前はカジュアルな格好でいらしたのが、ワンピースにハイヒール、髪も巻いてと、おしゃれになられます。病気ではないので自費治療ですから、それなりにお金はかかりますが、年に一度誕生日に、自分へのごほうびにと、楽しみに来院されていますよ。

— 女性をしあわせにするお仕事なんですね。

小林♣ そうですね。医者というのは、たいてい「病気に苦しむ患者さんを助けたい」という気持ちで医者になるので、美容医療を邪道だと思うところがあります。実は、かつての私もそうでした。でも、縁あって美容の道に入り、戸惑いながらもやってみたら、みなさん本当にキレイになるし、イキイキされるんですよ。その姿を見るのが楽しくて、日々やりがいを感じています。

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白斑治療で有名な新宿皮フ科。昨年4月から小林副院長のもと、美容部門をスタート。

子どものころから、医者になると決めていた

— 小林さんが医療の道を志した経緯を教えてください。

小林♣ 私は父が医者で、子どものころから大変、父を尊敬していました。内科の開業医でしたが、昔ですから家に救急車がしょっちゅう来たり、夜中に往診かばんを持って出かけたりする父の姿にほんとうに憧れの気持ちを持っていました。それで、私も絶対に医者になると決めていました。だから、学生時代は勉強ばかりしていましたね。

— 皮膚科医になると決めたのは?

小林♣ はじめは小児外科医になりたかったんです。専門を決めるとき、まず外科系か内科系かという選択肢があって、そこは迷わず外科系だと思っていたんですね。内科系はどちらかというと考えることが得意な人が合っていて、私は性格的に考えるより動くほうが好きなので。手術も大好きですし。手術って悪いところをとってしまえば、キレイに治るのがいい。
ただ、小児外科医は大変ハードな仕事なので、女性として結婚や出産はむずかしい。それで、外科の一分野である皮膚科医を選びました。

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小林さんが手にしているのは、シミを取るときなどに使うレーザー機器。「医療用のものだから、効き目も抜群。たいていのシミはきれいに取れますよ」。

*女性をキレイにしあわせにし、やりがいのある日々を送っている小林さん。美容の道に入ったきっかけや30~40代の女性におすすめのスキンケアについては、後編でお楽しみください。

First Posted : 2015.2.2 on "clover&"

PROFILE

小林しのぶ [ こばやし しのぶ ]

新宿皮フ科副院長。2003年東海大学医学部卒業後、北里大学皮膚科学教室、独立行政法人国立栃木病院、下都賀総合病院を経て、2014年1月より新宿皮フ科勤務。

〈近況〉2015年9月に新規オープンの、高輪皮膚科・形成外科の理事長兼院長に就任。オフィシャルサイト:Dr. Shinobu Official WEB


writer’s profile

鈴木麻由美 女性のライフスタイル全般および育児・保育・教育関係を中心に取材・執筆。

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