「おとな女子登山部」 なっちゃん(後編)

みんなに知ってもらいたい! 山頂に着いたときの「登った!」という達成感 TEXT by 鈴木麻由美 PHOTO by 三浦健司

「おとな女子登山部」の一員として、とくに女性に山の楽しさを伝えたいと張り切っている“なっちゃん”(前編)。女性ならではの山の楽しみ方は? 初めての登山に、これだけは準備したいものは?

山で食べるあったかいごはんは格別!

—  女子ならではの山の楽しみ方を教えてください。

なっちゃん♣ 山で食べる「山ごはん」を堪能してほしいですね。コンビニ弁当などではなく、作りたてのあったかいごはんを山で食べるのは格別です。
いっしょに行くメンバーと、登る山に合わせてメニューを考えるところからが楽しいんです。たとえば、長野の山に登るのなら、「長野の名産品を使って何か作れないかな」とか。相談しているだけで、わくわくしてきます。

—  どんなものを使って、どんなメニューを作るのですか。

なっちゃん♣ バーナーと深型のクッカーがあれば、たいていのものは調理できます。1日目は生の食材を持っていっても大丈夫ですが、2日目、3日目になると傷んでしまうので、私たちはレトルト食品や乾燥食材などをフル活用しています。
たとえば、細いのですぐ茹で上がるサラダ用スパゲッティをパスタ用ソースにからめたり、乾燥ゴーヤーと高野豆腐でゴーヤーチャンプルーを作ったり。あれこれ工夫するのは、とっても楽しいですよ!

—  女性なら、ファッションに凝るのも楽しいでしょうね。

なっちゃん♣ 山ガールがブームになったのは、ファッション革命が大きかったと思います。以前は男性的なもの、シンプルなものしかなかったけれど、最近はいつもの洋服感覚で選べるくらいファッショナブル。とくに女性は、すでに何枚か持っていても、新しいものが出ると買いたくなってしまうのではないでしょうか。
実は私もそのくちで、お給料が入るたびについお店で買ってしまいます。お給料はそのまま登山用品になっている感じ(笑)。

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「山ごはんづくりに、あったらいいなと思う道具をセレクトしてみました」。バーナー、ガスカートリッジ(燃料)、手にしているクッカーの3点セットのほか、軽量のウォーターボトルや鍋の底まできれいにすくえるシリコンスプーン、「まずはここから」のレトルト食品など、おすすめグッズがずらり。

靴だけはちゃんとしたものを

 これから登山を始めたい人は、まずは何を準備すればよいですか。

なっちゃん♣ 絶対に必要なのは、靴。靴がちゃんとしているかどうかで、疲れ度が全然、違います。そもそも足に合わない靴を履いていると痛くて、全然楽しくない。初めての登山をよい思い出にするためにも、靴選びだけは慎重に、足に合った靴を履いてほしいと思います。

 靴の上手な選び方は?

なっちゃん♣ ハイカットで足首までしっかりホールドしてくれるもの。初心者なら底はやわらかめでもよいと思います。足のサイズより0.5~1㎝程度大きめで、人によって足幅や形も違うので、必ず実際に履いてみてから選びましょう。
ちなみにお店で試し履きするときは、下り坂を試すことが大事です。平坦な道や上り坂では問題なくても、下りとなると足が前にすべりつま先があたって痛い、ということがよくあります。

 服装については、いかがでしょう。

なっちゃん♣ 初心者が行く高尾山レベルなら、雨さえ降らなければTシャツなど普段着でも大丈夫です。汗をかいたときに体が冷えないように、できれば綿素材ではなく乾きやすい素材のものがよいですね。
山の天気は変わりやすいので、レインウェアは必須。あと、防寒着も必ず持っていってください。夏なのにフリースとかダウンとか大げさすぎる? と思うかもしれませんが、雨なんか降ると寒いですよ。
私自身、何度、後悔したことか。先日も日光白根山に登ったのですが、雨に降られて、寒くて寒くて。想定より1枚多く、をあらためて痛感しました。とくに女性は寒がりですから気を付けてください。

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初心者でも、靴だけは登山用で足に合ったものを。「好日山荘では、親身になって靴選びのアドバイスをしています」

 初心者におすすめの山は?

なっちゃん♣ このあたりなら、まずは靴の履きならしに高尾山や神奈川県の大山(おおやま)。しっかり歩けて、電車でのアクセスもよいのでおすすめです。少し足を伸ばせるなら、箱根の金時山(きんときやま)は富士山が大きくきれいに見えるので、ぜひ行ってみてほしいと思います。

 季節はいつがよいですか。

なっちゃん♣ やっぱり、春とか夏でしょうか。秋は紅葉がいいですが、まずは山の緑や花などを楽しんでほしいので。

 なっちゃん自身は、これからどんな山に登ってみたいですか。

なっちゃん♣ 日本百名山というのがあるんですが、いまそれをひとつずつクリアしているところです。だいたい30山くらいクリアしたかな。
余談ですが、山小屋にはオリジナルグッズとしてバッジや手ぬぐいを売っています。記念にそんな小物を集めるのも、山の楽しみ方のひとつです。私は部屋に百名山の名前を書いたのれんを飾っていて、ひとつ登るたびにそこのバッジを刺しています。

 これから登ってみたい山は?

なっちゃん♣ 南アルプスの聖岳(ひじりだけ)と光岳(てかりだけ)。マニアックな山ですが、百名山でもありま。

 海外の山に興味はありますか。

なっちゃん♣ 行くとしたらカナダでトレッキングとか、そういうイメージかな。海外の場合は山頂をめざすというより、のんびり楽しく、という感じで行きたいと思っています。

 「山ガール」も定着しつつあり、楽しみ方もたくさんある登山は、女性におすすめの趣味ですね。今日は興味深いお話をどうもありがとうございました。

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「おとな女子登山部として、これからも女性ならではの視点を生かし、楽しく情報発信していきたい」

撮影協力=銀座 好日山荘

First Posted : 2015.8.10 on "clover&"

PROFILE

なっちゃん

「おとな女子登山部」関東リーダー。
登山用品・アウトドア用品専門店「好日山荘」勤務、入社4年目。大学時代に初登山。入社後、本格的に登山を始める。「山から山を歩く縦走登山が好き」。

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多くの女性に山の楽しさや魅力を知らせたいと立ち上げた、好日山荘内の「部活」。日本全国の女性社員のうち、10名が参加。山の情報発信やイベント・ツアーの企画、女性ならではの悩みや質問に答えるなどの活動をしている。
http://www.kojitusanso.jp/otonajoshi/

〈近況〉ブログ:おとな女子登山部:お知らせ


writer’s profile

鈴木麻由美 女性のライフスタイル全般および育児・保育・教育関係を中心に取材・執筆。

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