パン職人 福岡由佳理さん(後編)

ふんわりしあわせ。 母娘が自宅で営むホームメイドベーカリー! TEXT by 萩原まみ PHOTO by 菊池陽一郎

*3年前、自宅1階に小さなパン屋さん&手ごねパン教室「うーぱん」を開店した福岡由佳理さん(前編)。販売担当の母・晴美さんと二人三脚の日々です。

お子さんにも安心の自家製パンを

— パン屋さんにもいろいろなタイプのお店がありますが、「うーぱん」のコンセプトは?

福岡♣ お子さんにも安心して食べてもらえるようなパンを作りたいと思っています。小麦粉はすべて国産小麦を使っていて、中の具材もひとつひとつ手作り。「お惣菜屋さん!?」っていうぐらい、いろいろな種類のお惣菜パンがあります。ボリューム満点なので、1個でお腹いっぱいになりますよ。

— 特に人気の商品は?

福岡♣ とろりんたまごのカレーパン」です。キーマカレーは野菜を細かくみじん切りにして、挽き肉をたっぷり入れて、野菜もお肉も摂れるようにしています。何かサプライズがあるといいなと思って、とろりんたまごを入れました。「トロ生大福」は白パンの中にあんこと生クリーム入り。冷やしパンなので、夏場は特に人気でした。「土曜日限定うーぱんチーズバーガー」も好評ですね。
いくつか買っていただいても飽きないように、パンの種類によってひとつひとつ生地を変えているんですよ。

— 1日にどれぐらいの量を作るんですか?

福岡♣ 数は250個から300個弱ぐらいかな。種類でいうと平日は25種類ぐらい、土曜日は限定品などもあるので30種類ぐらいです。

— その日のメニューはどんなふうに決めるんでしょう?

福岡♣ 定番以外に何を作るかは、天候なども考えて決めますね。雨の日は小さいお子さん連れのママさんが来られないので、小さいお子さん向けのものはやめる、とか。

朝いちばん早いのはパン屋さん!?

— 1日のタイムスケジュールを教えてください。

福岡♣ 平日は午前3時過ぎ、土曜日は種類が多いので2時過ぎとかに起床。午前中はどんどんパンを焼いて、店に出していきます。午後は翌日分の仕込みですね。商品がなくなり次第、閉店なので、夕方5時前頃には閉めることが多いです。寝るのは夜9時過ぎぐらい。遅くとも10時前には寝るようにしています。
福岡(晴美)♣ 見ていて、大変そうだなとは思いますね。こんなに体が丈夫な子だったとは知りませんでした。若いからかな(笑)?

— パンをこねるのは重労働ですよね?

福岡(晴美)♣ 手とか肩とか、普通じゃできない。パンが並んだ鉄板を両手に2枚持って入れ換えるときなんて、本当に重いですよ。
福岡♣ 体力と健康だけは自信があります! 腰が痛くなることはありますけど、動かしているせいか肩コリも全然なくて、この仕事は自分に合ってるって思いますね。

— パン教室のほうはどんなペースで?

福岡(晴美)♣ 祭日と平日で月2~3回、1クラス4名様までで1日に3クラス。パン教室がある日は販売はお休みにしています。スーパーで買える材料を使って、「うーぱん」で売っているようなパンを毎回1種類作って、出来上がったパンはお持ち帰り。二次発酵の間とか、待ち時間があるので、自家製スープやパンをお出ししておしゃべりしながら楽しくやっています。
焼き上がったパンをオーブンから出したとき、わーっと盛り上がるんですよ。ちゃんとできてよかった!って、いちばんうれしい瞬間ですね。

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叩いて、こねて、パン作りは力仕事。由佳理さんの手のなかで、みるみるうちにパン生地が出来上がっていく。

小さいお店ならではのお客さんとのふれあい

— お客さんはどんな方が中心ですか?

福岡(晴美)♣ ご近所の方と、隣駅ぐらいから自転車でいらっしゃる方が多いですね。小さなお子さん連れの20代後半から30代前半ぐらいのお母さんがいちばん多いかな。ママ友の間で話題にしてくれて、口コミでお客さんが増えたんです。お惣菜パンの種類が豊富なので、男性もいらっしゃいますよ。あとは、おじいちゃんおばあちゃん。小学生とか中高生の子が1個だけ買いに来てくれるのもうれしいですね。

— 取材中もお客さんが次々に訪れて、晴美さんとの会話を楽しみながら買っていかれる様子が印象的でした。

福岡(晴美)♣ お母さんみたいに思ってくれてるお客さんが多くて、昼休みに会社のグチを話しにくるOLさんとかね(笑)。ワンちゃん連れで、他のお店だと店内に連れて入れないし、外につないでもおくのも不安って方も、うちだとちょっと寄って買い物しやすいって言ってくれます。

— やっていてよかった!と思うのはどんなときですか?

福岡♣ 誕生日用のパンとか、児童館のハロウィンパーティ用のパンとか、特別な注文をいただいて、「おいしかったよ」って喜んでくださると、やってよかった!って思います。そういう特別なオーダーや、開店前の朝7時半にサンドイッチセット10個お願い!といったご注文も承っています。1個からお取り置きもできますよ。

— 今後の目標は何かありますか?

福岡♣ 店がわかりづらいので、ショップらしくしたいですね。パン教室も今ぐらいのペースで続けていきたいですが、販売スペースを広げて、もうちょっとわかりやすいお店にできたらいいなと思います。

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「うーぱん」という店名の由来は? 「祖母のあだ名が、オランウータンそっくりだというので “うーたん”だったんです。ここは“うーたん宅(ち)”だったところ。“うーたんパン”だと長いので“うーぱん”にしました」(由佳理さん)

First Posted : 2015.1.26 on "clover&"

PROFILE

福岡 由佳理  [ふくおか ゆかり]

パン職人。
3年間、パン作りを学び、2011年12月1日、東大泉(東京都練馬区)の自宅1階に小さなパン屋さん「うーぱん」を開店。月に2~3回、月替わりのパンを教える手ごねパン教室も開催している。
http://u-pan.jp/

〈近況〉パン教室の日程はうーぱんFacebookページへ。


writer’s profile

萩原まみ 食、ジェンダー、セクシュアリティ、ムーミン、イケメン俳優が得意ジャンル。『ムーミンマグ物語』(講談社)の文章担当。

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