ランニングコーチ 江田良子さん(前編)

そんな思いで指導をしています ランニングは、仲間とともに走ることを楽しんで! TEXT by 鈴木麻由美 PHOTO by 菊池陽一郎

約10年実業団で走り、国内はもとより世界でも戦ってきた江田良子さん。世界陸上選手権女子マラソン代表に選出されたこともある実力派です。競技生活を引退し、2児の母となった現在は、ランニングスクール・RUN塾を開講。走ることが大好きな仲間たちに、より楽しくより速く走る方法を伝授しています。

30代から70代の会員が仲良くランニング

— 江田さんが開講されているRUN塾について、教えてください。

江田♣ RUN塾は、より楽しくより速く走る方法をみなさんにお伝えするランニングスクールです。走ることだけではなく、栄養面やシューズのフィッティングなどあらゆる角度から、みなさんのRUN LIFEを応援しています。
練習日は、所沢校が毎週水曜日と土曜日、大宮校が毎週火曜日のいずれも午前中。持久力を養うためのメニューと、スピード力を養うためのメニューを組み合わせて練習しています。
ちなみに、今日は400メートルを15本、走るという練習をしました。来週は、ゆっくりしたスピードから徐々にペースをあげていくビルド走を練習する予定です。

— 所沢校での練習を拝見しました。みなさん、かなりレベルが高いですね。

江田♣ いろいろなレベルのメンバーがいますが、今日は少なくとも3~4年以上、走っているメンバーが多かったので、全体的にレベルは高めだったかもしれません。42.195 kmのフルマラソンはもちろん、それを超える距離を走るウルトラマラソンや、山を走るトレイルランなど、みなさん、それぞれの目標に向かって練習しています。

— 会員の方々の年齢層は?

江田♣ 所沢校は比較的年齢層が高く、30代から70代。平均年齢は48歳です。お仕事や家事の合間に参加されている方、リタイアされている方など、さまざまです。年齢も性別も関係なく、みなさんとても仲がよく、よく飲み会も開催されているようですよ。

1027_life_08_photo01_02
この日の練習メニューは、400mを15本。かなりハードだが、誰も音を上げない。

「走りたい」と思ったら、かわいいウエアを

— 最近、ランニングがブームです。初心者がこれから走りたいと思ったら、どのように始めればよいですか。

江田♣ まずは、外に出て走り始めてみてほしいです。よくある失敗が、「走るとなったら、1時間くらいは走らなきゃ」と思ってしまうこと。実際は、初心者だと20分、30分走るのも大変なのがふつうです。それで、走ってみてきつくて、「たかが20分走っても意味がない」とあきらめてしまうと、そこで終わってしまいます。でも、20分でもいいから走ることを続けていると、だんだん走れるようになるんです。
ただ、よくウォーキングから始めるとよいと言われるのですが、私はあまりおすすめしません。というのも、ウォーキングとランニングは、体の違うところを使うんですね。どんなにゆっくりでもいいから、歩く程度の速さでもいいから、「走る」という動きをやってほしいです。
そして、女性の場合は、早めにウエアを買ってほしいです。かわいいウエアを買うと、やる気がでるんですよ! これでしばらく、モチベーションが保てます。
おもしろいのは、男性はウエアじゃなくて、シューズか時計なんですね。会員さんを見ていると、入会記念にRUN塾のTシャツをプレゼントしているんですけど、男性はいつまでもそれを着ている(笑)。それで、新しいシューズを買ったり、時計を買ったりして自慢し合っています。
一方、女性は次から次へとウエアを替える。また違うの着てるね、今日もまた新しいね、みたいな感じで、どんどんバリエーションが増えていって、色もどんどん華やかになってきます。

1027_life_08_photo02_02
RUN塾所沢校の練習風景。カラフルなウエアに身を包み、元気に走る会員たち。

— 走り方にコツはありますか。

江田♣ 基本的に、長距離に正解のフォームというのはないので、自分がいちばん楽だと感じる形で走っていいです。もちろん、本当はできるだけ無駄のない動きを身につけたほうがいいのですが、形に気をつけることで頭がいっぱいになってしまうと、ぎこちない走りになってしまうので。
そもそも、走り方というのは、ふだんの姿勢が大きくものをいうんですね。ですので、「走るフォームを変えたいんです」という人には、「1週間のうち、走る時間は何時間? 1日1時間としても、せいぜい5~7時間でしょう。だったら、ふだんの生活の中で、猫背なら意識して姿勢をよくするとか、内股なら意識して脚をまっすぐにつくようにするとか、それが近道ですよ」と伝えています。

— やはり、毎日走ることが大切なのでしょうね。

江田♣ そうですね。でも、毎日走るって、けっこう大変なんですよ。仕事や家事、育児などがある中で、走るための時間をつくらなければならないわけですから。だから、私は、「毎日じゃなくてもいい。でも、3日は空けないで」と言っています。
1日目、ばたばたしていて走れなかった。次の日も、どうしても走れなかった。そのまま3日空けてしまうと、走ることに慣れていた体も元に戻ってしまうし、開き始めていた汗腺も閉じてしまうし、血流も悪くなってむくみやすくなってしまうし、何より気持ちが下がってしまう。3日が1週間になり、1カ月になり、あっという間に月日がたってしまいます。これが2日までなら、まだ取り戻せるんです。

— 1日のうち、いつ走るのがおすすめですか。

江田♣ 朝か夜かと聞かれたら断然、朝ですね。気持ちがいいということもあるし、夜だと、その日思った以上に仕事がきつかったとか、子どもの世話が大変だったとか、言い訳ができてしまうんですよ。朝なら、朝一番に走ってしまえば、あとは動くしかないので。
それに、たいてい走り始めるきっかけは、「そろそろやせたいわ」とか、そういうことでしょう? だとすると、朝だったらまだおなかが空っぽの状態で走るので、体に溜め込んでいるエネルギーを燃焼してくれて効果的だということもあります。

1027_life_08_photo03_02
これから走ってみたいという人に「5分走って5分歩くというペースでもよいので、30分は走ってみて」とアドバイス。

 

*これから走ろうと思っている人に、的確なアドバイスをくれた江田さん。
ご自身の競技生活については、後編でお楽しみください。

First Posted : 2014.10.27 on "clover&"

PROFILE

江田良子 [えだ りょうこ]

ランニングコーチ。
城西短大を卒業後、みずほ銀行(当時、富士銀行)陸上部に入部し、その後ヤマダ電機陸上部へ移籍。1998年、初マラソンのベルリンマラソンで8位入賞。 以後6回目のフルマラソンとなる2005名古屋国際女子マラソンで自己ベストの2時間24分54秒、3位となり同年のヘルシンキ世界陸上選手権女子マラソン日本代表となる。2005年現役引退。現在はランニングスクール・RUN塾で塾長を務める。
http://www.runjuku.com


writer’s profile

鈴木麻由美 女性のライフスタイル全般および育児・保育・教育関係を中心に取材・執筆。

Share Buttons

Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on Twitter