インテリアコーディネーター 小島真子さん(前編)

力仕事もこなす働きぶりが人気の秘訣!? お客さまに合わせたていねいなヒアリングと TEXT by 鈴木麻由美 PHOTO by 菊池陽一郎

フリーランスのインテリアコーディネーターとして活躍中の小島真子さん。「一人ひとりに合った笑顔があふれる空間づくり」をモットーに、個人宅から病院、サロンのコーディネートまで幅広く活動しています。女性の憧れの仕事のひとつにも数えられるインテリアコーディネートの仕事の実際は? 小島さん自身がコーディネートを手がけたおしゃれな事務所で話を聞きました。

ていねいなヒアリングで、お客さまの好みを把握

— 小島さんはインテリアコーディネーターとして、どんなお仕事をされているのですか。

小島♣ お客さまのご依頼を受けて、一人ひとりのライフスタイルに合った空間づくりのお手伝いをしています。お客さまの「こんな空間にしたい」というイメージを共有しながら、カーテンやクロス、家具、小物などを選び、レイアウトやディスプレイまで、トータルコーディネートしてご提案するという形です。

— 一人ひとりのライフスタイルに合った空間づくり」は、どのようにすすめていくのですか。

小島♣ まず、ていねいにヒアリングを行ないます。
はじめに確認することは、お客さまの好みのスタイルです。モダンな感じが好みなのか、和風がいいのか、それとも北欧風、カントリー風、など。インテリアの世界には、いろいろなスタイルがありますから。
自分の好みのスタイルがわからない、決まっていない、という方には、施工例や画像などをお見せしながら、「この中では、どれがお好みですか」「木目が多いほうがいいですか」「寒色系でまとめたいですか、暖色系がいいですか」などの質問を重ね、「こんなスタイルで」というところまで詰めていきます。
次に、お客さまのライフスタイルです。たとえば、朝型なのか夜型なのかで、カーテンの素材や色の選び方が変わってきます。夜型の方なら、朝ゆっくりと寝ていられるように遮光性に配慮しなければならない、など。
そして、誰のためのどんな空間にしたいのか、ということです。その空間で誰が何を楽しむのかによって、選ぶべき家具もレイアウトも変わってきますから。たとえば、リビングでも、ソファに寝転がってテレビを見るというライフスタイルを大切にしたいのか、趣味の洋裁を楽しみたいのかによって、理想の形は違ってくるはず。
ここで配慮しているのが、その場所にいちばん長時間いる方にとって居心地のよい空間になるように、ということです。たとえば、ご依頼のときに「お父さんがソファでテレビを見るのが好きだから、それに合った空間づくりを」とお話しされるお客さまは多いんです。でも、そこだけに重きを置いてコーディネートしてしまうと、最終的に不満が出てきやすいんですね。というのも実際は、お父さんが家にいるのは休日だけで、専業主婦のお母さんのほうがリビングにいる時間が長いから。このように、ヒアリングでは、お客さまご自身が意識していないご希望を見つけ出す必要もあります。

1014_life_07_photo01_03
事務所の壁は一面のみ濃い焦げ茶色。「少し重たい感じだったので、白い家具を多用し、白いウォールステッカーを貼って明るくさわやかなSOHOスタイルに仕上げました」

右脳派か左脳派か。接客には、それも大切な判断基準

— ヒアリングを行なうときに、心がけていることを教えてください。

小島♣ いろいろなお客さまがいらっしゃるので、それぞれのお客さまのタイプに合った話し方を心がけています。私自身、以前は接客業に就いていたこともあり、どんな方とでもお話をするのが好きだし、得意なんですね。また、お話をしているうちにある程度、その方のタイプがわかるという特技もあります。
その方のタイプを判断するひとつの判断基準として、この方は右脳派かな、左脳派かな、というのがあるんです。たとえば、話をしながら身振り手振りの多い方は、出てくる言葉も抽象的で、右脳派。そういう方とお話をさせていただくときには、あまり具体的な説明は、シャットアウトされてしまうので避けるようにします。逆に、左脳が強い方の場合は、あいまいな表現だと納得していただけないので、しっかりと理屈をつけて説明する必要があります。
私自身は、インプットもアウトプットも右脳派なので、左脳派のお客さまと接するのはむずかしい面もあるんです。でも、細かい説明が必要な点などは、あらかじめしっかりメモしてからヒアリングに挑むなど、工夫して乗り切っています。
あと、心がけていることは、価値観を相手に合わせるということですね。「センスがいい」というのが何なのかは、人によって違うんです。ある人にとってはセンスがよくても、ある人にとってはよくない、なんてことは当たり前にある。お客さまが何をいいと思うのか、お話をしながら慎重に汲み取るようにしています。お客さまが言葉にされること以外に、身につけているものなども、重要な情報源になるんですよ。

1014_life_07_photo02_03
リビング、キッズスペース、寝室それぞれのカーテンとクロスのコーディネートをお客さまに提案。

ひとりのお客さまに1カ月半、じっくりと向き合う

— ヒアリングをしてから、プランのご提案まで、どのくらいの時間がかかりますか。

小島♣ 私の場合、ヒアリングからプラン提案までにだいたい2週間くらいの時間をいただいています。2週間って、お客さまからすると「長い」と思われがちなのですが、ひとつの部屋でもテーブルにチェアにキャビネットにコートハンガーにと、商品の数が少なくとも5点から10点以上はある。それらをひとつひとつ、インターネットやカタログなどから探していくのですが、イメージや予算に合うものがすんなり見つかることもあれば、なかなか出てこないこともあります。場合によっては、ひとつの商品に7時間以上かかることもあるんです。ですから、私にとって2週間はあっという間なんですね。

— プランご提案後の流れを簡単に教えてください。

小島♣ お見積もりを出し、ご検討いただき、OKとなった時点で商品を発注します。お見積もりを出した時点で、「もう少し予算を上げてもいいので、違うものを」などの要望があればまた別の商品を探さなければならないし、なかなかトントン拍子にはいきません。ようやく発注しても、早くても納品までに1週間はかかります。私の場合、お客さま宅への納品まで立ち会うので、ヒアリングからトータルで短くても1カ月、たいていは1カ月半くらい一人のお客さまとじっくり向き合うことになりますね。

1014_life_07_photo03_03
「お客さまにご提案するときは、イメージしていただきやすいように、生地見本やイメージ写真までボードにまとめてお見せしています」

 

*一人ひとりのお客さまとていねいに向き合う誠実な仕事ぶりが評価され、順調に活動の幅を広げている小島さん。意外な苦労話については、後編でお楽しみください。

First Posted : 2014.10.14 on "clover&"

PROFILE

小島真子 [こじま まこ]

インテリアコーディネーター。
ラフスタイル代表。法人・個人のインテリアコーディネート業をはじめ、セミナー講師、執筆活動、コンサルティングほか、企画やメディア協力等でも活躍中。
http://www.laugh-style.jp/

〈近況〉ブログ:インテリアコーディネーター小島真子Blog


writer’s profile

鈴木麻由美 女性のライフスタイル全般および育児・保育・教育関係を中心に取材・執筆。

Share Buttons

Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on Twitter