フィッシングガイド 武田架奈美さん(前編)

はじめはマス釣り、釣り堀からでも。 「釣れた!」という喜びを、ぜひ味わって! TEXT by 鈴木麻由美 PHOTO by 菊池陽一郎

男性の趣味というイメージが強い「釣り」の世界で、女性唯一のバスフィッシングガイドとして活躍中の武田架奈美さん。霞ヶ浦の湖上をボートで駆け巡り、スピード感あふれる釣りを楽しむ彼女に、釣りのイロハから釣りの魅力まで話を聞きました。

釣る場所、釣るもの、釣る魚。釣りの種類はさまざま。

—  ひとことで「釣り」といっても、いろいろな種類があるようです。どのような釣りがあるのか、簡単に教えてください。

武田♣ まず、釣る場所で分類できますね。海、川か、湖、沼…。細かくいうと海から川に流れ込む汽水域とか、もう多岐にわたるんですけど、大きく分けると海水か真水か、ということになります。カッコよく言うと、ソルトウォーターかフレッシュウォーターか。
次に、本物のエサで釣るエサ釣りか、疑似エサであるルアーで釣るルアーフィッシングか。エサ釣りも、ミミズのようなものを生きたままつけるタイプ、サバやイカの切身、アサリや青柳といった貝のむき身など、釣る魚種によってさまざま。
あとは、船に乗って釣る船釣りか、陸から釣る陸釣り(おかづり)か、といったような分け方もありますね。陸釣りの中には、浜辺で釣る浜釣りも含まれます。

—  武田さんが得意としているのは、どんな釣りですか。

武田♣ 湖などで、ルアーを使ってブラックバスを釣るバスフィッシングです。5年前からはこのバスフィッシングのガイドの仕事も始めました。海などでの釣りは趣味の範囲でやっていますが、その場合もルアーフィッシングが基本ですね。

—  海では、ルアーでどんな魚が釣れるのですか。

武田♣ みなさんがご存じの魚でいうと、太刀魚やスズキなど。海釣りは、調理して食べる楽しみもあるので、女性には楽しいかもしれませんね。バスフィッシングは、基本的には釣ることだけを楽しむ、スポーツフィッシングスタイルですから。

「いろいろな釣りがありますが、私の場合、海でも湖でもルアーで釣れるターゲットを釣りに行くというスタイルが基本」。ルアーもこんなにたくさんの種類が。
「いろいろな釣りがありますが、私の場合、海でも湖でもルアーで釣れるターゲットを釣りに行くというスタイルが基本」。ルアーもこんなにたくさんの種類が。

ゲストのリクエストに合わせてガイドする

 バスフィッシングのガイドとは、どんな仕事ですか。

武田♣ いっしょにボートに乗っていただいて、バスの釣れる場所にご案内しながら、釣り方をアドバイスさせていただく、というのが基本です。私の場合はWebでガイド日程をアップしているので、ご覧になった方がお電話かメールで問い合わせをしていただいて、ガイド日を決めるという形で進めています。

ガイド歴はまだ5年ほどなんですが、やればやるほど奥が深いな、と。はじめは、この場所でこういう釣り方をしたら釣れる、ということを伝えることが大事だと思っていたんです。ゲストの方には、とにかく釣っていただきたいと思っていたので。
でも、だんだんそれは違うな、って。ゲストの方によっては、さまざまなリクエストがあって、「今日はこのエリアでこのルアーで」とお話ししても、「憧れの霞ヶ浦で、ふだん自分一人で陸(おか)から釣っているのとは違うダイナミックな釣りをしてみたい」、「自分のお気に入りのルアーで」「こんな釣り方で」釣ってみたいなど、いろんな希望があるわけですよ。

それで最近は、ゲストの方々の希望を最大限尊重しながら、その中でもできるだけ釣れる場所、釣れる方法をチョイスしてオーダーに答えていくのが私の仕事だな、と。本来、バスフィッシングは、魚がいまいる場所に行って、その場所にルアーを合わせるんです。でも、ゲストに釣り方の希望がある場合は、その順番が逆になる。むずかしいところですが、それができてこそプロだと思っています。

駐艇しているボートヤードで準備をしてから、車で牽引して水際まで移動。そしてゲストを乗せて湖上へ。「せっかくボートに乗るのだから、そのスピードや爽快感を存分に味わってもらいたいと思っています」。
駐艇しているボートヤードで準備をしてから、車で牽引して水際まで移動。そしてゲストを乗せて湖上へ。「せっかくボートに乗るのだから、そのスピードや爽快感を存分に味わってもらいたいと思っています」。

初心者大歓迎! まずはルアーの投げ方から指導

 どんなお客さんが来るのですか。

武田♣ ゲストの方の釣りのレベルはさまざまで、初心者の方もいらっしゃいます。上手にできないとガイドさんに叱られちゃう、と思っている方は多いみたいなんですが、そんなことありません。
とくに私の場合は、女性だからなのか、初心者の方のエントリーは多めかも。旦那さんが奥さんを連れてきて、奥さんは私にまかせて、自分は自分の釣りをしたいという方もいらっしゃいますし(笑)。
初心者、大歓迎なんですよ。ゴルフなんかでもそうですが、習わずに自己流で釣りをしていると、ルアーの投げ方などに変な癖がついちゃうんです。それを正しいフォームにしようとすると、大変! それより、はじめからきちんと教わった方が早いんですね。
実際、ルアーの投げ方から教えてほしいという方もいらっしゃいますし、こちらもまずゲストに投げてみていただいて、投げる練習からしたほうがいいな、という方には釣りのポイントに着く前に2~3時間、投げる練習をすることもあります。

 ボートに乗っている時間は、どのくらいですか。

武田♣ バスフィッシングの場合、ガイドの時間は長くて、ほぼ一日中。
朝一番の涼しいときに、人間もそうですけど魚も朝ごはんをバーッと食べるんですね。日中は、暑いので魚も陰に潜んでしまいますが、夕方になると夕ごはんだ! というのでもう一回、気勢が上がる。そういう一日の流れの中で、バスのポジションってどんどん変化するんです。バスの気持ちになって投げる場所、投げるもの、いろんなことを一日かけてやっていきます

初心者大歓迎! 「釣りをまったく知らない人にも基本からお教えしますよ」
初心者大歓迎! 「釣りをまったく知らない人にも基本からお教えしますよ」

*バスフィッシングガイドとして、ゲストの希望を最大限尊重しながら釣れる場所、釣れる方法をチョイスしている武田さん。武田さん自身が釣りを始めたきっかけやガイドの仕事を始めた経緯は後編で。

取材協力=ブイロクマリンサービス

First Posted : 2015.10.19 on "clover&"

PROFILE

武田 架奈美 [ たけだかなみ ]

小学生時代から釣りを始め、20代でバスフィッシングにのめり込む。一方で、20代初めからレーシングドライバー、撮影ドライバーとして活躍。5年前より、バスフィッシングを仕事に。現在は、撮影ドライバー、バスフィッシングガイドと二足のわらじで精力的に活動中。

http://ameblo.jp/kanami-t/


writer’s profile

鈴木麻由美 女性のライフスタイル全般および育児・保育・教育関係を中心に取材・執筆。

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