アウトドアコーディネーター こいしゆうかさん(後編)

あなたもぜひ、非日常に癒されて! 一人で気軽に「女子キャンプ」。 TEXT by 鈴木麻由美 PHOTO by 菊池陽一郎

「女子キャンプ」という新しいスタイルを確立し、イラストレーター兼アウトドアコーディネーターとして仕事の幅を広げつつあるこいしさん(前編)。おすすめの「女子キャンプ」は?

リュックひとつで、まるでピクニック感覚で

—  こいしさんが確立した「女子キャンプ」とは、どういうものですか。

こいし♣ まず、車を運転しない女性も多いので、徒歩でも持ち運べるように、道具が圧倒的に少なくて軽いんです。
たとえば、私がアウトドアブランドの「テンマクデザイン」とコラボレーションで企画・デザインを手がけた一人用のオリジナルテント「PANDA」は、大きさは2m四方、重さは2kg足らず。ポール1本で女性一人でも簡単に建てられる構造ながら、意外にしっかりしていて、かなりの雨風は大丈夫という優れものです。
これなら思い立ったときに、30~40リットルのリュックにスポッと入れて、まるでピクニック感覚で気軽に出かけられるでしょう。20150615_interview_24_photo01

—  どんな「女子キャンプ」がおすすめですか。

こいし♣ 必ずしも一人じゃなくても、2~3人でもいいんですけど、できれば少人数でまったりと過ごし、心をリラックスさせるキャンプというのを体験してほしい。大勢で行って、バーベキューで盛り上がるというのではなくてね。
そのために、季節は秋がおすすめです。少し時期をずらせば、人が少なくて落ち着けますから。夏だと虫が多いし、昼間は暑すぎるというのもあります。

はじめは「手ぶら」でキャンプもいいかも

 初心者におすすめのキャンプ場について、教えてください。

こいし♣ 「キャンプ場」として整備されているところで、女性だけならとくに管理人さんが24時間常駐しているところがいいですね。さらに、レンタル品が豊富で、売店もしっかりしていれば安心です。

 探し方は?

こいし♣ 本やインターネットなどで気になるキャンプ場があったら、ブログを検索してみてください。そうすると、トイレがこうだったとか、管理人さんがああだったとか、こんな景色がすばらしかったとか、いろいろ書いてあります。キャンプ場内に温泉があるなど、楽しいところもありますよ。

 用意すべきものは?

こいし♣ はじめは、全部レンタルでよいのでは? 最近は、テントから寝袋から炊飯器まで貸してくれるキャンプ場も増えています。何度か行って楽しくなったら、少しずつ揃えていけばよいと思います。

 食事は、キャンプ場で自炊が基本ですか。

こいし♣ そうですね。車だったら、どこかで食べて戻ってきてもいいですが、徒歩の場合はあまり移動できないので、途中で買い出ししてキャンプ場で作って食べることになりますね。私の場合は、一人用のクッカーやシングルバーナー、小さなテーブルを用意して調理しています。おままごとみたいな感じで楽しいです。

 たとえば、どんなメニューを?

こいし♣ ミニスキレットっていうんでしょうか、最近流行っているダッチオーブン風フライパンで作るアヒージョや、生ハムパスタは、簡単でおいしいのでおすすめ! 料理は得意じゃなかったんですけど、キャンプで料理を覚えました。

 キャンプ場での過ごし方は?

こいし♣ 何もすることがない。それもキャンプの魅力のひとつだと思っているんです。一日中、本を読んでいてもいいし、昼寝をしていてもいい、これでもかっていうくらいダラダラできる。
でも、何泊かするときは、さすがにずっと何もしないわけにはいかないですよね。そこで、キャンプを拠点にして、たとえば山に登ったり、ランニングをしたり、カヤックをこいだり、自転車で湖を一周したりなどのアクティビティを楽しめるのもキャンプのよさだと思います。何も道具を持っていなかったら、ランニングをして汗をかき、温泉に入って戻ってくるというのもいいですね。

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着ているシャツも、こいしさんのイラスト入りのオリジナル。

キャンプは、人生観を変えるチャンス?

 自然相手のキャンプだからこそ、気を付けるべきこともあるかと思います。

こいし♣ キャンプ場のルールに従うことです。管理人さんの話はしっかりと聞く。「危険」とされているところには行かない。自分を過信せず、謙虚な気持ちでいれば、危ないということはありません。
いちばん気にしてほしいのは、ゴミのマナーですね。中にはすごい人もいるので。でも、それって他人が迷惑するだけじゃなく、カラスや猫が来たり、結局、自分たちも大変な思いをすることになるんです。

最後に、キャンプ初心者に伝えたいことはありますか。

こいし♣ キャンプってやはり自然相手なので、思いどおりにならないことも多いんです。でも、そこでイライラしてしまうと疲れちゃうので、私は逆におもしろがるようにしています。失敗も不快な体験も心の持ちようひとつで楽しめるということをキャンプは教えてくれると思います。
私自身、失敗はたくさんありますよ。まだキャンプ初心者のころ、島に行ったときは風がすごくて、夜中じゅうテントがバタバタ! うるさくて、あまり眠れなかった。それで朝、目が覚めたら、なんと青空の下だったんです。そう、テントが飛んでいってしまったの(笑)。
こういう体験って、つらいと思ったら大変だけど、ギャグだと思えば楽しいでしょ? 実際、コミックエッセイにばっちり描かせていただきましたよ。キャンプを始めて、ずいぶんと人生観が変わったような気がします。

楽しいお話をどうもありがとうございました。

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「今年の連休は、猪苗代湖に行きました。次に長いおやすみがとれたら、ぜひ行きたいのは四万十川!」

First Posted : 2015.6.15 on "clover&"

PROFILE

こいしゆうか

大学卒業後、イラストの勉強をしながらOLを経験。退職後、イラストレーターとして活動しつつ、趣味であったアウトドアを生かし、女性視点のキャンプスタイル「女子キャンプ」を提唱。テレビ、雑誌、Webなどのメディアにてキャンプコーディネイト、企画、プロデュースなどアウトドアコーディネーターとして活躍中。http://koipanda.jimdo.com/

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writer’s profile

鈴木麻由美 女性のライフスタイル全般および育児・保育・教育関係を中心に取材・執筆。

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