地元メディアコーディネーター 中田真由美さん(後編)

地元を楽しむ「じもたん」で 私も子どもも、地元でいきいき輝きたい! TEXT by 鈴木麻由美 PHOTO by 遠崎智宏

*トライ&エラーを繰り返し、ようやく誕生した「じもたん」(前編)。紙媒体への挑戦や子ども向けの活動を通し、広がりの予感……。

紙媒体に挑戦したところ、手ごたえが!

—  「じもたん」の主な活動内容について教えてください。

中田♣ サイト上での地元のお店の情報発信がメインです。月に1回メンバーが集まり、ミーティングをして方向性を決め、取材・執筆などを役割分担。
でも、実はまだまだ模索中でして。サイト上での情報発信は、私たち素人ではなかなか「お金」にならないんですね。私たちがやりたいのは「仕事」であって、ボランティアやサークル活動ではないので、そこがむずかしいところ。
そこで、昨年末、初めて紙媒体を作ってみました。「みつけた! 二子新地の はふはふ あったか おいしいもの」というフリーペーパーで、二子新地の飲食店の情報を広告という形で載せています。
デザインはデザイナーのママにお願いしたので一応、きれいな形にはなっているんですけど、わかりやすさ、伝わりやすさという点では反省点がたくさんあります。でも、広告収入につながったという意味では、一歩前進! もしかしたら、「仕事」として広げていけるかもしれないという手ごたえが感じられました。今年は紙媒体にも力を入れようと、メンバー同士で話しているところです。

紙媒体で手ごたえが。「『じもたん』の活動でつながっていたお店の方に協力いただいたおかげで、初めての紙媒体のわりには順調に広告が集まりました。感謝」
紙媒体で手ごたえが。「『じもたん』の活動でつながっていたお店の方に協力いただいたおかげで、初めての紙媒体のわりには順調に広告が集まりました。感謝」

地域の子どもの「取材体験講座」も大人気!

 「じもたん」では、子ども向けの活動も実施しているそうですね。

中田♣ はい。「じもたんKids」という活動です。川崎市宮前区を中心に子どもが地域のお店を取材し、書いた記事で新聞を作るというものです。月に2回ほど開催しています。

 目的は?

中田♣ 昔、業界新聞社にいたときに家電製品を担当していたのですが、洗濯機や冷蔵庫などの取材を通して社会の動きが自分なりに見えてくる感じが、とても興味深かったんですね。その体験がベースにあり、子どもにも身近な――たとえばお花屋さんの話から、何か1つでも世の中のことを知ったり、関心を持ったりしてくれるといいなという思いがありました。
あとは単純に、子どもが町のいろいろな人と知り合いになれるのはいいことだと思うし、安心。子どもも町で取材先の人にばったり会って挨拶をしてもらえるのは、とってもうれしいようです。

 取材相手は、どうやって決めるのですか。

中田♣ 私のほうで提案することもありますし、子どもから「今度はお医者さんに話を聞いてみたい」「ケーキ屋さんに行ってみたい」とリクエストされることもあります。アポイントをとりつけるのは、私。7~8割はOKいただけますが、ときにお断りされることも。へこみますね(笑)。でも、1年間続けたかいあってか、最近はほとんど紹介で取材先が見つかるようになりました。

 活動の流れは?

中田♣ まず、わが家の居間に集まって、質問などをまとめ、それからみんなで取材先に出かけます。文章は子どもがまとめ、楽しんで書いてもらえればいいかなと思っているので、あまり添削はしません。そのかわり、お返事がてら、感想はしっかり書きます。それで新聞を作り、1~2か月に1度、地域に配布しています。

 参加者は?

中田♣ うちの娘が4月に小学5年になったところなので、その友だち、友だちの友だちなどからつながって、だいたい4年生・5年生前後の子どもがメインですね。リピーターも多く、1回参加してくれるとその後、都合さえつけば何回も来てくれる子が多いです。
娘自身も喜んで参加してくれていて、それはとてもうれしいです。

「じもたんKids」の活動で、子どもたちに取材先の説明をする中田さん。
「じもたんKids」の活動で、子どもたちに取材先の説明をする中田さん。

地元の人と人をつなげるしくみを作りたい

 今後、「じもたん」でやりたいことは何ですか。

中田♣ 紙媒体に手ごたえを感じているので、そちらに力を入れていきたいです。あと、子どもの新聞を通して、子どもが書いたものって読んでもらいやすいように感じているので、Kids新聞のほうは思い切って、地元で読まれる媒体に育てていきたいなと思っています。いずれにしても、「仕事」としてきちんとまわるしくみを作っていきたいですね。
そして、いずれは地元で何かしたいというお母さんが思いを伝えることで共感してもらえたり、応援してもらえたり、仲間を募って一歩踏み出してみたり、そんなつながりを気軽に作る役割を担えたらいいな、と。「じもたん」を通して、たくさんの人がイキイキ輝けるお手伝いができたらうれしいです。

 前向きになれるすてきなお話をどうもありがとうございました。

いまは「じもたん」が仕事であり、趣味。「いつか余裕ができたら、パンを焼くとかすてきな趣味が持ちたいですね(笑)」
いまは「じもたん」が仕事であり、趣味。「いつか余裕ができたら、パンを焼くとかすてきな趣味が持ちたいですね(笑)」

First Posted : 2015.5.18 on "clover&"

PROFILE

中田真由美 [ なかたまゆみ ]

大学卒業後、業界新聞社など出版関係の会社を経て、IT関係のリサーチ会社に転職。結婚・出産後、しばらくフルタイムの正社員として仕事を続けるが、子育てをしながらの働き方として疑問を感じ、退職。試行錯誤の末、「地元を楽しむ」をコンセプトにグループ「じもたん」主宰に至る。
http://www.jimotan.net/

〈近況〉子供新聞クラブ「じもたんKids」は随時参加者募集中。
詳しくは「じもたん」子供新聞活動のページへ。


writer’s profile

鈴木麻由美 女性のライフスタイル全般および育児・保育・教育関係を中心に取材・執筆。

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