フラワーアートディレクター 関屋紀子さん(前編)

仕事をしながら お花のパワーで癒される TEXT by 鈴木麻由美 PHOTO by 遠崎智宏

フラワー&ティーサロン「Floral Medallion(フローラルメダリオン)」を主宰する、フラワーコーディネーター、フラワーアレンジメント講師の関屋紀子さん。自宅教室でのフラワーアレンジメントレッスンのほか、ギフト制作や撮影用装花など多方面で活躍中です。お花の仕事にふさわしく、優雅な雰囲気を身にまとった関屋さんに話を聞きました。

一人ひとりの個性を大事にしたレッスン

— 関屋さんのレッスンスタイルについて教えてください。

関屋♣ テーマに沿ってお花や花器を用意し、原則、生徒さんに自由に活けていただくスタイルです。
ちなみに今日は、ハーブティーとのコラボレッスンでしたので、テーマは「ハーブ」。ハーブに合うナチュラルテイストのお花を中心に選びました。

— レッスンで心がけていることは何ですか。

関屋♣ 一人ひとりの個性を大事に、みんなが違うものを作れるようになってほしいと思っています。ですから、レッスンではあえて見本はつくっていません。どうしても真似してしまいますから。ですので、誰がどのように活けても美しく見えるような花選びには、こだわっているんですよ。

どのように活けてよいか、迷ってしまいそうです。

関屋♣ もちろんフラワーアレンジメントにも基本はあり、それを学ぶコースも用意しています。基本とは、たとえば焦点を決め、その花を中心にしてまわりを囲むように活けていく、など。でも、そういった基本にこだわりすぎると、崩せなくなってしまうんですよね。そこの加減をお伝えするのが、むずかしいところです。

「フラワーアレンジは、それぞれの花の個性を存分に引き出せるように、お花と会話しながらすすめます」。
「フラワーアレンジは、それぞれの花の個性を存分に引き出せるように、お花と会話しながらすすめます」。

お花に合わせたケーキとお茶が評判に

ほかにレッスンの特徴はありますか。

関屋♣ 自宅のレッスンでは、お花に合わせたケーキとお茶を用意し、レッスンの最後にみんなでいただきます。「花より団子」じゃないですけど、とても評判、いいんです(笑)。

たとえば、どんなケーキを用意されるのですか。

関屋♣ あじさいの花を使ったアレンジメントのときは、あじさいをイメージしたカラフルなサンドイッチにかたつむりの形のお菓子を添える、など。評判のお店で買うこともあれば、手づくりすることもあります。大変ですが、これも楽しい作業のひとつです。

ティータイムでは、どのようなおしゃべりを?

関屋♣ このお花かわいいね、とか、こんな活け方もあったのね、とか。お花を中心にした話題が多いですね。不思議と、愚痴など悪い話は出ないんですよ。お花のよいパワーが邪気を払ってくれるのでしょうね。レッスンのあとは、私もいつも気分がよいです。

生徒さんは、どのような方が多いですか。

関屋♣ 30~50代の女性で、仕事をしている人も主婦の人もいます。最近は、主婦の方が多いかな。というのは、みなさん長く続けてくださるので、以前OLだったときに習い始めたけれど結婚して主婦になった、というパターンが多いんです。

お花を囲み、和やかにレッスンが進行。「フラワーアレンジを学ぶという目的以上に、お花と過ごすこの時間そのものを楽しみに来てくださっている方も多いんです」。3月にアロマトリートメントサロン「サロン・ド・ベルファム」で行われた生花×ハーブティーのコラボレッスン。
お花を囲み、和やかにレッスンが進行。「フラワーアレンジを学ぶという目的以上に、お花と過ごすこの時間そのものを楽しみに来てくださっている方も多いんです」。3月にアロマトリートメントサロン「サロン・ド・ベルファム」で行われた生花×ハーブティーのコラボレッスン。

実家にはいつも花があった

もともとお花が好きだったのですか。

関屋♣ そうですね。実家には、いつも花がありました。とくにわが家は男性陣が花好きで、同居していた祖父や父が温室で蘭を育てたりしていたので、私も自然と花に興味を持ったのだと思います。

お花の仕事についたきっかけは?

関屋♣ 短大を卒業後、ふつうのOLになったのですが数年で辞め、どうしようかと思っていたときに、転職情報誌でフラワーアレンジメントスクールの講師の仕事を見つけました。OL時代にフラワーアレンジメントのお稽古に通い、資格をとっていたので、ためしに応募してみたら受かってしまいました。26歳のときです。
お稽古に通っていたときは、フラワーアレンジメントの仕事をしようと思っていたわけでなく、趣味のひとつという気持ちだったのですが、それが一生の仕事になるとは。フラワーアレンジメントの仕事に就いて20年、いまだ飽きることはありません。

まさに天職ですね。その後、独立されるまでの経緯を教えてください。

関屋♣ フラワーアレンジメントスクールの講師として3年ほど勤め、次に洋館のブライダルの仕事に就きました。やりがいはありましたが、仕事柄、土日の休みがないんですね。いっしょに遊んでくれる友だちもいなくなるし、当時は彼氏もいなかったので、人生、このままでいいのか、と。やっぱり教える仕事が好きだと気づいたこともあり、退職して独立しました。

すぐに生徒さんは集まりましたか。

関屋♣ 白金高輪に教室を借り、家賃を払わなければならないので毎日、一日に数レッスンずつ組んで、バリバリ働きました。講師時代の生徒さんが来てくださったり、そのお友だちが来てくださったり、おかげさまで生徒さんは徐々に増えていきました。
その後、レッスンだけでなくギフトや撮影用装花などの仕事をいただけるようになり、いまに至ります。

ヒヤシンス、菜の花、スイトピー、バラ、ミント、ムスカリetc.。早春にふさわしいナチュラルカラーの花や葉を取り合わせて。
ヒヤシンス、菜の花、スイトピー、バラ、ミント、ムスカリetc.。早春にふさわしいナチュラルカラーの花や葉を取り合わせて。

*ふとしたきっかけでフラワーアレンジメントの仕事に就き、いつしかそれが天職に。関屋さんにとって、お花の魅力とは? 続きは後編で。

取材協力=サロン・ド・ベルファム

First Posted : 2015.4.6 on "clover&"

PROFILE

関屋紀子 [ せきやのりこ ]

短大卒業後、OLを経て、フラワーアレンジメントスクール講師、ハウスウエディングの専属フラワーコーディネーターを経験し、独立。現在、フラワーアレンジメントサロン Floral Medallion(フローラルメダリオン)を主宰し、フラワーアレンジメント講師、フラワーコーディネーターとして活躍中。

http://fmd.tea-nifty.com/nf/

〈近況〉目黒(東京都目黒区)の新しい自宅兼教室がオープンしました。詳しくはブログへ。


writer’s profile

鈴木麻由美 女性のライフスタイル全般および育児・保育・教育関係を中心に取材・執筆。

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