vol.9
芋煮会 Life&Workレンジャー6 東京 粂井 優子秋になって、私の脳裏に真っ先に浮かぶのは、何と言っても故郷の河原で紅葉をバックに行われる芋煮会です。
芋煮会とは、主に東北各地や関東の一部で行われる季節行事で、河原など野外で家族や親しい人達で里芋を使った鍋料理を楽しみます。一説によれば、山形県中山町にて、船運が盛んな江戸時代、船頭らが船着き場で松の枝に鍋を掛け、棒ダラを煮て食べたのが始まりとされています。
地域のイベントとして行われることも、平成以降どんどん増えてきました。山形市では、日本一の芋煮会と称して、直径6メートルの大鍋を使って、3万食の芋煮が作られ、街の一大イベントとなっています。味付けは醤油ベースの山形風と、味噌ベースの庄内風の2種類。実は一口に芋煮といっても、地域によって里芋以外の食材も味付けも様々です。豚肉で味噌味(庄内風)、牛肉で醤油味(山形風)、鶏肉で醤油味、などなど。魚介を入れる地域もあるそうです。私の故郷、茨城県北部の常陸大宮市(旧・山方町)の地域イベントでは、関東一の大きさを誇る直径3.5メートルの鉄鍋が登場します(タイトル写真)。普段は国道沿いに飾ってありますが、芋煮会の日が近づくと、クレーン車で河原に運ばれます。家庭では豚肉を使うことが多いのですが、このイベントでは地元名産の奥久慈しゃも肉を使います。地元でとれた里芋、コンニャク、ネギ、ごぼうなどを入れ、味付けは味噌。3000食が一気に作られます。
我が家は毎年11月中旬のその日に合わせて帰省し、祖父母と河原に出向き、川に迫る山の紅葉を眺めながらいただきます。秋の収穫を心からありがたいと思える瞬間です。色づいた山に夕日が当たると燃えているようです。
皆さんのご家庭での人気の鍋の味付けは何ですか? 家の中でのお鍋も楽しいと思いますが、お天気の良い日に、旬の材料を揃えて、カセットコンロとお鍋を持って、お近くの河原など野外での秋の味覚、楽しんでみませんか?
First Posted : 2014.10.28 on "clover&"