再発見!和の知恵・季の習慣

vol.23

 入梅(にゅうばい)のころ Life&Workレンジャー6 東京 三浦 陽子

「入梅(にゅうばい)」は、6月11日頃、暦の上での「梅雨(つゆ)入り」を意味する言葉です。
「入梅」は、季節の移り変わりを把握するための雑節のひとつで、「節分」「彼岸」「八十八夜」などのようにあらかじめ日付が決まっています。実際の「梅雨入り」とは異なりますが、農作物の出来高をよりよいものにするために、梅雨がくる時期の目安を知っておく必要がありました。

昔は、今のように気象情報が発達していないため、目安として江戸時代に暦の上で「入梅」を設けたと考えられています。毎年決まった入梅の日が実際にも梅雨入りというわけではなく、現代では気象庁の出す「梅雨入り宣言」が実際の梅雨入りですね。
ちなみに、「梅雨明け」のことは「出梅(しゅつばい)」と言うそうです。

「梅雨」「入梅」の語源でもあるとおり、この時期は梅が実ります。
梅は三毒(食べものの毒・血液の毒・水の毒)を断つといわれる健康食で、昔から日本の家庭では梅酒や梅干し作りが欠かせませんでした。
梅干しは疲労回復や食欲増進、腐敗防止にも役立ちます。我が家でも梅雨の時期には、ご飯の真ん中に梅干を入れただけの「日の丸弁当」が定番です。

また、梅干し作りに使う赤じそも旬ですから、しそジュース作りも楽しいですね。赤じそは、強力な抗酸化作用があり、疲れ目や視力の向上、美肌、整腸、食欲増進などに効果的なアントシアニンが豊富です。見た目にもキレイなので、これからの季節にぴったりです。

また、梅雨の時期は食中毒対策として、食あたりを防ぐ役目のあるみょうが、しょうが、わさび、大葉などの薬味を活用したり、お弁当やおにぎりを酢飯にしたりするのも昔ながらの知恵です。まな板に緑茶をかければ、消臭・抗菌作用でスッキリするでしょう。

梅雨は春から夏へと移るための大切な季節。体力の消耗が激しい夏の前に、家でゆっくりと過ごして体を休める機会と考えるのもいいですね。

First Posted : 2015.6.2 on "clover&"

PROFILE

三浦 陽子

多くの子どもたちと、夏は磯遊び、冬はスキーといったアウトドアを楽しみ、外遊びから「生きる力」を身につけた人材を輩出すべく活動中。

Life&Workレンジャー6 東京
自らの経験を含めさまざまな家事・育児事例を知る「暮らしのプロ」として、札幌、大阪のメンバーと連携して結成。各種講演、講座、ワークショップを展開しています。
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