再発見!和の知恵・季の習慣

Photo=Noriko / PIXTA

vol.10

 こたつ開き Life&Workレンジャー6 東京 三浦 陽子

江戸時代から伝わる、「こたつ(炬燵)を使い始める日」のことだそうです。
この「こたつ開き」という日は、いつかご存じでしょうか? 「亥の月の、亥の日」、旧暦では10月、今の暦だと11月から12月にかけての初冬です。そろそろ暖がとりたくなる時期ですね。

江戸時代、こたつ開きの日は武家と町屋の2回あり、武家屋敷の「こたつ開き」は、10月の最初の亥の日、町屋の一般庶民は、二番目の亥の日(12日後)と決まっていたそうです。行事や習慣としてそれを守っていたというのも驚きです。

当時のこたつは、炉(囲炉裏)や火鉢の上に机をおき、その上から布団などをかぶせたようなもの、一つ間違えば火事になる恐れがあるため、大切な行事だったのかもしれませんね。「亥の日に火を入れると火事にならない」との言い伝えがあったようです。言い伝えのもとは、亥(イノシシ)は火を免れるという昔からの考えや、亥が陰陽五行で「陰の水」にあたり火に勝つとされていたことだとか。

また、「旧暦10月の亥の日」に作られる「亥の子餅」という餅菓子も、古くから伝わっているものです。中国伝来の行事だといいますが、亥の月、亥の日、亥の刻(午後9時~11時)に食べると万病を除くことができるとされ、多産なイノシシにあやかり子孫繁栄を願う意味もあるようです。

こたつ開きをすませた江戸の家庭では、こたつでみかんを食べたり、ちょっとうたたね寝したりして過ごしたかもしれません。現代と同じ様子が目に浮かびます。我が家にはこたつがないのですが、家族のコミュニケーションの場所としても活躍しそうで、欲しくなりました。

さて、今年の「10月(旧暦)亥の日」は、11月24日と12月6日になるようです。
今年は暖房器具を出すのを亥の日からにしてみませんか。

First Posted : 2014.11.18 on "clover&"

PROFILE

三浦 陽子

多くの子どもたちと、夏は磯遊び、冬はスキーといったアウトドアを楽しみ、外遊びから「生きる力」を身につけた人材を輩出すべく活動中。

Life&Workレンジャー6 東京
自らの経験を含めさまざまな家事・育児事例を知る「暮らしのプロ」として、札幌、大阪のメンバーと連携して結成。各種講演、講座、ワークショップを展開しています。
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