vol.12
夏の終わりの線香花火 「ナイス!コミュニケーション*nico」主宰 いりさわ のりこ9月半ばを過ぎると、残暑も少し穏やかになって秋の気配を感じますね。
日が落ちると涼しく、夜も過ごしやすくなります。
暑い暑い季節の終わり・・・ホッとする反面、毎年少しだけ寂しいのはなぜでしょう。
今回は夏の終わりに楽しむ線香花火のお話です。
大勢の人たちが見上げる中、夜空を盛大に彩る大輪の花火。
町内会のお祭りで、おじさん達が張り切って点火してくれる吹き上げ花火や落下傘花火。
友人や家族とワイワイはしゃぎながら盛り上がる手持ち花火。
夏の想い出に花火はつきものですね。
手持ち花火の最後を飾るのは、決まっていつも線香花火。
私は線香花火をするとき、この楽しい時間が終わって欲しくない!という思いで、息を止めて小さな火花を見守っていた想い出があります。
線香花火の魅力は、はかなげな火花です。火をつけてから消えるまで様々に表情を変える火花。4つの段階があり、それぞれに名前が付いているのをご存知ですか?
点火して少しずつ火の玉が膨らむ「蕾(つぼみ)」。
やがて一つ一つ、おずおずと火花が散り始める「牡丹(ぼたん)」。
勢いを増し、絶え間なく華やかな火花が咲き誇る「松葉」。
終わり間際に1本また1本と細い火花が静かに落ちる「散り菊」。
線香花火の一生にこんな風流な名前が付いているなんて素敵ですね!
もう一つ、線香花火の良いところは、みんなで寄り添って出来ること。
他の手持ち花火は、お互いに火花がかからないよう離れるので、人との距離は遠くなりますよね。でも線香花火は、みんなでまあるく円になり肩を寄せ合って風を避け、じっと息を潜めて静かに火花を見つめます。静かだけれど、あたたかく安心感に満ちた時間が流れます。
夏の終わりの線香花火、いかがでしょう。
涼しい夜の空気の中で、大切な人たちとぐるり輪になって。
蕾、牡丹、松葉、散り菊、数十秒の線香花火を見つめながら、過ぎゆく夏を感じませんか?
First Posted : 2014.9.19 on "clover&"