家事&暮らしニュースサロン

vol.23

 空き家利用のニューモデルは? 暮らし学舎。 前田真理

5月に空き家対策特別措置法が全面施行され、危険物件等について、強制撤去できるほか、来年度からは固定資産税もアップすることとなり、空き家問題が話題になっています。
住まなくなったからといって、着なくなった洋服を処分するように、簡単には処分できないのが家ですね。野村総合研究所では、既存住宅の取り壊しや、住宅用途以外への有効活用が進まなければ、2033年には、日本の空き家率は30.2%にも上昇するだろうと予測。3軒に1軒が空き家という状況は、想像するだけでもぞっとするものがあります。

このような中、自治体などが地域の空き家情報を集約し、賃貸や売買に繋げる「空き家バンク」の活用も本格化し始めてきたよう。登録は一般的に無料なので、所有する空き家の対処に困っている方は、空き家のある自治体に問い合わせてみてはいかがでしょうか。

これまで以上の旅行客を見込むためにも、「空き家の宿泊利用」を、と呼びかける人もいます。日本では既存の法律との関係で難しい面もありそうですが、暮らすように旅する――という謳いで、現地の人の家(「空き家」を含む)や部屋を借り、より生活感を感じる旅をする手法が、海外では広がりつつあるよう。
日本各地で行なわれている「農家民泊」も、“現地の暮らしを知る”という点では、共通していますね。
先日わたしの住む鹿児島では、「農家民泊」ならぬ「武家民泊」のモニターツアーが行なわれました。舞台となったのは鎌倉時代からの歴史を持つ入来麓(いりきふもと)武家屋敷群で、空き家に泊まり、観光に加え地元の人々と交流するというものです。ここには、近くの川から拾い集めた玉石で作られた美しい玉石垣が続くのですが、それを守る、600年毎日続く朝掃除があるそう。旅行者はその体験も共有して清々しい朝を過ごし、作業後においしい朝食を食べたとか。
旅行者が現地の暮らしを楽しむため、提供側にも無理のないコーディネートモデルができれば、空き家利用の可能性のひとつともなるかもしれません。

First Posted : 2015.9.2 on "clover&"

PROFILE

前田真理

フリーランスライターの傍ら、「暮らし学舎。」を主宰。
家のコトを家族や仲間とシェアして、幸せ感ある心地よい暮らし方を見つけよう!と活動中。
暮らしに関する講座を開くほか記事やFacebookで情報発信している。
「暮らし学舎。」FBは、https://www.facebook.com/kurashigakusya

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