料理研究家 鈴木佳世子さん(後編)

からだも気持ちも元気にしてくれる 野菜のパワーで 毎日、明るく前向きに! TEXT by 鈴木麻由美 PHOTO by 菊池陽一郎

健康の基本は毎日の食事。野菜をたくさん食べる生活で健康を取り戻す

— 野菜ソムリエの勉強を始めたことで、何か気づきはありましたか。

鈴木♣ 病気になると、サプリメントを飲んだり、ちょっとくらい高くてもプロポリスなどの健康食品を試したくなったりするんですよね。でも、いろいろ考えて、最後に行き着いたのは「食事が基本」ということ。
それではじめは、マクロビオティック(玄米菜食を基本とした食事法)などをストイックにやっていたんですけど、どんどん気持ちが小さくなっちゃって。もともと食いしん坊で、食べることが大好きだから。

最近は、防災食にも興味があり、自治体の集まりなどで講座を開いている鈴木さん。「大変なときでも、ただおなかを満たすだけに食べるのではなく、ちょっと工夫しておいしく楽しく食べる工夫をお伝えしています。そんなときこそ、気持ちから元気にならなくちゃいけないと思うから」
最近は、防災食にも興味があり、自治体の集まりなどで講座を開いている鈴木さん。「大変なときでも、ただおなかを満たすだけに食べるのではなく、ちょっと工夫しておいしく楽しく食べる工夫をお伝えしています。そんなときこそ、気持ちから元気にならなくちゃいけないと思うから」

これは続かないと思っていたところに、野菜ソムリエの勉強を始めて、野菜をたくさん食べる生活にシフトしてみたら、野菜の持っているパワーをもらって、作るのも食べるのも楽しくなって。野菜からいい「気」をもらって、どんどん気持ちが前向きになっていったんですね。

ちょうど1年くらいたったときに、外の教室の方から「スペースを空けて待っているので、また来てください」と声をかけていただいたんです。もう元の仕事に戻れるとは思っていなかったのですが、家にぼうっとしてるのもつらいんですよね。それで、自宅の料理教室はまだ無理だけれど、外の仕事から徐々に復帰することにしたんです。
そうしたら、なんか病気といっしょに自分の気持ちの毒々しい部分が抜けたというか、ひと皮むけたようなすがすがしい気持ちになって。みなさん、私が病気をしていたことを知らない方も、なぜか前とは違う感じで応援してくださるようになって。どんどん「こんなイベントがあるんだけど、やりませんか」などと声がかかるようになりました。

野菜や果物は旬のもの、地場のものがおすすめ

— 以来、ますます仕事の幅が広がったとか。

鈴木♣ 地元のJAとか農家さんともつながりができて、地元の野菜を使ったイベントなどにも呼んでいただけるようになりました。
ここに長く住んでますけど、地元の農家さんが何を作っているか、なんて知らなかった。それが、野菜ソムリエの勉強を通して野菜に気持ちがいったときに、「地元の○○さんが作ったトマト」をいただく贅沢というのに目覚めて。いまは自宅での料理教室も再開していますが、そこでも地元の野菜を積極的に使い、みなさんにご紹介しています。

— 最近は、スムージー講座も人気だそうです。

鈴木さんのスムージーのレシピには、しばしばバジルが登場する。「さわやかな香りが気に入っています」。今日はバナナ、オレンジと組み合わせて。
鈴木さんのスムージーのレシピには、しばしばバジルが登場する。「さわやかな香りが気に入っています」。今日はバナナ、オレンジと組み合わせて。

鈴木♣ 私自身、毎朝、スムージー(生の野菜や果物と水をブレンダーで混ぜ合わせたもの)を作って飲んでいます。もう3年になるかな。
スムージーのいいところは、生の野菜や果物の生きた酵素を大量に効率よく体に取り入れることができるところです。酵素はもともと人間の体にあるもので、食べ物を消化するのに使ったり、紫外線やストレス、食品添加物から体を守るのに使ったりと大切なものですが、年齢とともにだんだん減ってしまうんです。酵素が足りなくなると、細胞のメンテナンスができずに、病気にかかりやすくなる。

最初、適当に作って飲んでいたんですね。でも、独学で勉強すればするほど、野菜と果物の組み合わせで場合によっては損をしていることに気づいて。
たとえば、よく牛乳や豆乳を入れる人がいますよね。悪いわけではないんですが、野菜や果物の酵素を100%取り入れるには不向き。たんぱく質を消化するのに、せっかくの酵素を大量に使ってしまうので。
また、スプラウト類もよくない。微量な毒素を持っているので、食べるくらいなら問題ないんですけど、スムージーにして毎日、大量に取るのはあまりおすすめできません。
いちばんいいのは、葉物野菜と果物、多くても4種類くらいのシンプルなスムージー。それだと、消化などに酵素の無駄遣いをすることもありません。できるだけ旬のもの、地場のものを使うと、自分の体に受け入れやすいと思います。

赤い色の食べ物は、女性を元気にしてくれる抗酸化パワーが

— 40代前後の女性に、とくにおすすめのスムージーは?

鈴木♣ いまの季節なら、トマト。赤い食べ物は抗酸化パワーがあるので、アンチエイジングにも効果的なんですよ。春なら赤いいちご、あと赤いパプリカや真夏ならすいかなどもいいですね。

毎朝、欠かさずにスムージーを作って飲んでいる。始めて3年、いまでは「飲まずにはいられない」生活習慣に。
毎朝、欠かさずにスムージーを作って飲んでいる。始めて3年、いまでは「飲まずにはいられない」生活習慣に。

更年期前後の女性には、アボカドもおすすめ。アボカドは女性ホルモンを補ってくれるし、ビタミンEも豊富なんです。

ちなみに私は、今朝、バナナとブルーベリーとアボカドとバジルを組み合わせて飲みました。香りを楽しみながら、ゆっくりと噛むように5~8分くらいかけて飲みます。そうすると、朝はそれだけでおなかいっぱいになるんです。
ふだんは、それでお昼まで何も食べません。お昼近くにおなかがグーグーなりますが、それって若返りホルモンが出ているんですって! だから、最近は料理教室の最中など、おなかが鳴っても隠さずに「私、いま若返りホルモンが出ていまーす」と言って喜ぶことにしています(笑い)。

— スムージーや食生活の改善で、どのくらいで効果が出ますか?

鈴木♣ 薬とは違うので、即効性はないんです。一般的に、1か月くらいはデトックスの時期で、逆に吹き出物が出たりすることもあるんですよ。体から悪いものを出さないと、よいものが入らないようです。
で、3か月目くらいになると、細胞が生まれ変わるサイクルがおよそ3か月なので、そのころから少しずつ体が変わり始め、自分でも調子のよさを実感できるようになります。4か月、5か月目くらいになると、人から言われるようになります。「なんか、変わったね」と。私もスムージーを始めて半年くらいたったころに、「最近、肌の色が明るくなったね」とほめられました。

— 最後に、同世代の女性に何か伝えたいことはありますか。

鈴木♣ 食事って、からだだけでなく気持ちも元気にしてくれるもの。そして、人と人とをつなげてくれるもの。みなさんに、食事の大切さをお伝えしたいということが、いまの私の活動のすべての芯にあります。

First Posted : 2014.7.28 on "clover&"

PROFILE

鈴木 佳世子  [すずき かよこ]

料理研究家
日本野菜ソムリエ協会認定料理教室「ks-café」主宰。1961年大阪生まれ。1997年より、横浜の自宅で料理教室を始める。2006年より「らでぃっしゅぼーやスタジオ@青葉台」講師、2007年より「ららぽーと横浜lala club」講師。

〈近況〉2016年2月現在、らでぃっしゅぼーや新宿本社講師。「危機管理教育研究所認定 防災クッキングアドバイザー」でもある。
ブログ:鈴木佳世子のお料理教室


writer’s profile

鈴木麻由美 女性のライフスタイル全般および育児・保育・教育関係を中心に取材・執筆。

Share Buttons

Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on Twitter