vol.31
綱引いちゃった! 上原千都世大分市役所で働く千晶は、知名度の低い大分市を全国にPRするため、市長命令で女子綱引きチームを作ることになります。そこで千晶が目をつけたのは、給食センター廃止撤回を求めて市役所に抗議に押しかけていた職員の女性たち。県大会で優勝したらセンター廃止を撤回する、という約束を市長からとりつけ、何とかチームを結成。千晶もキャプテンとしてチームに加わり、コーチを迎えて特訓を開始します。
運動会ではおなじみの「綱引き」ですが、競技として全国大会や世界大会があるんですね! この綱引きで地元を全国にPRしようとする市役所職員、千晶と、彼女のもとに集まったチームメイトたちの奮闘を描いた、町おこしスポ根コメディです。世界大会で3度優勝したチームが大分にあった、という実話から発想を得て作られた映画です。
選手として集まったのは、千晶の母を含む、廃止寸前の給食センターで働く職員7人。綱引き競技は1チーム8人のため人数が足りず、千晶も参加するハメになり、その上キャプテンも任されてしまいます。チーム名はその名も「綱娘(つなむすめ)」。しいたけ農家のイケメンコーチを迎え入れ、素人同然のチームが県大会優勝目指して特訓を開始します。
しかし暇さえあればおしゃべり、デートがあるからと早退ばかりするおばちゃんもおり、小学生相手の練習試合も惨敗。いいかげんな態度のチームメイトたちに愛想をつかしたキャプテンの千晶は、チームを辞めると言い出します。
でも実はチームメイトたちはそれぞれ家庭の事情を抱えていました。事故で職を失った夫を支えて仕事を掛け持ちする中年女性、和枝。若いのにひとりで認知症の父の面倒をみている美香。亡き夫の連れ子である息子の激しい反抗期に悩む絵美。皆が苦労を表に出さず、仕事の合間にもトレーニングしていたことを知った千晶は、再びチームに戻ります。県大会に向けて共にがんばる「つなむすめ」たちですが、市長が給食センターを廃止にすると再び言い出して、直談判に乗り込むのですが……。
最初は軽い気持ちだった「つなむすめ」たちが、いつのまにか綱引きに夢中になり、仲間との絆を深めていく。そんな彼女たちがラストの県大会、最後まで諦めずに踏ん張る姿に思わず声援を送りたくなります。血のつながらない母に反抗ばかりしていた絵美の息子が「お母さんがんばれ!」と叫ぶ場面は、思わずウルっとしてしまいます。
「人生は団体戦。みんなで力を合わせればのりこえられる」。そんな千晶の母のセリフが心に残りました。
First Posted : 2015.10.6 on "clover&"