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vol.20

 ナイト ミュージアム 上原千都世
あらすじ
ニューヨーク。失業中のラリーは、離婚した妻の再婚で息子のニッキーが新しい父親にすっかりなついていることに不安を感じています。息子を失望させないため再就職を決意、自然史博物館の夜警の仕事に就くことに。初勤務の夜、巨大模型や展示物が次々に動き回りラリーは唖然、館内は大混乱。散々な目に遭ったラリーは自然史を勉強して対策を練ります。そんなラリーを横目に、ベテラン警備員たちが密かによからぬ計画を進めていて……。

真夜中の博物館で展示物が一斉に動き出す、という奇想天外なシチュエーションのファンタジー・コメディ。夢ばかり見ていて仕事も人生も中途半端だった主人公が、博物館の騒動を収めようと奮闘しながら、父親としても人としても一回り大きくなっていく姿を描いています。

巨大な恐竜の骨格模型や、ジオラマ(立体模型)の原始人や古代民族、剥製のライオンやマンモスが館内を走り回り、ミニチュアのカウボーイとローマ帝国軍の間では戦闘勃発、蝋人形やモアイ像もしゃべり出し、エジプトのミイラまで復活。閉館から夜明けまで繰り広げられる大騒動に、何度も声をあげて笑ってしまうこと間違いなし。ティラノサウルス(の骨)が人なつっこい犬のようだったり、偉大な大統領ルーズベルト(の蝋人形)が女性にはオクテだったり、という意表をつくキャラクター設定も楽しいです。

やりたい放題の展示物たちに大マジメに格闘する主人公ラリーが、展示物たちと交流を深め、ルーズベルト大統領の助言を仰ぎながら、古株の警備員たちがたくらむ悪事に立ち向かいます。最初は小学生の息子に生活の心配をされるほど頼りなかったラリーが、自分の仕事を全うすることで息子の信用も取り戻していきます。

こんなことやあんなこと、本当に起こったら楽しそう! そんなドラえもん的大人ゴコロをくすぐるワクワク感満載の作品。映画を見たら博物館に行きたくなってしまいます。あの展示物も夜になったら……なんて想像しながら鑑賞するのも楽しいかもしれません。
朝になったら動かなくなる、という設定は、大人にも子どもにも人気のアニメーション「トイ・ストーリー」的でもあるし、「そんなのアリ!?」と子どもと一緒にあれこれツッコミながら見るのもおススメ。「ナイト ミュージアム2」(2009年)、「ナイト ミュージアム エジプト王の秘密」(2014年)と、続編も制作されています。

First Posted : 2015.4.21 on "clover&"

作品情報
監督:ショーン・レヴィ
出演:ベン・スティラー/カーラ・グギーノ/オーウェン・ウィルソン/ロビン・ウィリアムズ〔2006年/アメリカ/1時間48分〕

 

PROFILE

上原千都世

ライター、コラムニスト。
エンターテイメント情報誌「weeklyぴあ」映画担当を経てフリーに。エンタメ界での経歴、子育てなどの経験を活かして現在は「エンタメ・暮らし・子ども」などをキーワードに雑誌・書籍・web問わず執筆。「こども映画プラス」 「ウレぴあ総研」などに寄稿。

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