vol.22
ファッションまでも 「借りて楽しむ」 暮らし学舎。 前田真理あなたはたくさんの物を持ちたい派? それとも持ちたくない派?
“片付け講座”を開く機会がある私ですが、物を減らしたくてもなかなか減らせない傾向の中高年に対して、物をあまり持たない傾向の若年層。その違いを目の当たりにすることが多くなりました。
たくさんの物を持つ時代から、持ち物を少なくする時代へと移行しつつあることを感じます。
とはいっても、若年層は、単に物が少なくて満足しているわけではなく、捨てることに抵抗がなかったり、たくさんの情報の中から選んだ物を持っていたりするという印象。情報を集約・発信、物をデータとして保存できるようにもなった、IT時代の申し子たちと言えるのかもしれません。
片付け講座でみなさんがお困りのもののひとつが、洋服類です。買ったまま袖を通していないものから、今は着られないけれども、いつか着るかも、と期待をかけているものまで。服は嫌というほどあるのに、着るものがないと悩んでいる状況も多いようです。
そんな現状を反映してか、アメリカで成功したビジネスモデル“ファッションレンタル”が日本でもスタートして注目を集めています。SUSTINA(サスティナ)やairCloset(エアークローゼット)などがそれ。インターネットで申込みをすると、月定額制で服や小物が借り放題で、クリーニングなどの手入れも不要です。サイトへのアクセスや発送という煩雑さはあるものの、家に居ながらにして、いろんなおしゃれに挑戦できるお手軽さ。スタイリストが選ぶ……という売り文句のものや、買い取ることができるものもあり、あまりお金をかけず、手持ちを増やさないで、貪欲におしゃれを楽しみたい、という人に人気のようです。
身に付けるものだけに、DVDレンタルのように一般化するとは考えにくい気もしますが、レンタル文化が、物に縛られない生活をもたらしてくれるなら嬉しい気も。私の住む鹿児島市では、今年の春に市内各地に登場した貸自転車・コミュニティサイクル「かごりん」も人気です。今後、物のレンタルサービスへの需要は増えていきそう。それとともに、自分で所有する価値も、上がっていくように思います。
First Posted : 2015.8.19 on "clover&"