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お盆 Life&Workレンジャー6 東京 粂井 優子もうすぐお盆ですね。故郷のおじいちゃん、おばあちゃんが子どもや孫の帰省を楽しみに待っているという方も多いのではないでしょうか。
子ども達が幼い頃は、帰省して、かぶと虫やクワガタ採りも、大きな楽しみの一つでした。予めクヌギの幹に蜜を塗り、翌日の早朝捕獲したり、夜、電柱の灯りに集まっているところを捕まえたり。庭のバケツにスイカの切れ端を放り込んでおくだけで、そこに飛び込んでくることもありました。
蛍を蚊帳の中に放ち、カエルの大合唱をBGMに眠りにつくことも、今思うととても贅沢な時間だったと思います。
私の茨城の実家では、お盆には、サトイモの葉にナスを細かく刻んだものとお米を混ぜたものを乗せてお供えします。ナスとキュウリに割り箸を刺して、馬と牛に見立てた「精霊馬(しょうりょううま)」を仏壇まわりに供物と共に供える地域もあります。キュウリは馬の例えで、少しでもご先祖様を早く迎えられるようにとの願いを表わしています。また、ナスは牛を表現しています。お盆が終わって帰る時には別れを惜しんでゆっくりと、という意味です。
東京のお盆はひと月早い7月です。私の住んでいる目黒では、迎え火、送り火として、おがらを玄関先で焚きます。送り火としては京都の五山送り火が有名ですね。また、地方によっては川や山へ送る場合や、灯籠流しなどもあります。長崎の精霊(しょうろう)流しは、故人の霊を乗せた精霊船を、流し場とよぶ終着点まで運ぶ行事です。
茨城の実家でのお盆の送りは、16日の早朝に、お帰りの団子をこしらえ、お花とお線香とあわせて川べりに置きに行きます。以前は野菜や果物の供え物(あげ物と呼ぶ)もいっしょに、ゴザにくるんで運んでいたそうです。
先祖を大切にする思いを形にする日本の様々な風習は、少しずつ形態を変えつつも、それぞれの地域や家で受け継がれてきたものです。これからも大切に伝えていきたいですね。
First Posted : 2014.8.12 on "clover&"