vol.20
インバウンド気分で日本を旅しよう 暮らし学舎。 前田真理あまり馴染みのなかった「インバウンド」という言葉を、あちこちで聞くようになりましたね。これは、海外から日本へやって来る観光客を指しますが、6月に日本経済新聞社がまとめた2015年上期・日経MJヒット商品番付では、訪日外国人客の旺盛な消費を指す「インバウンド旋風」が東の横綱に番付されました。
それもそのはず、同じく6月に発表された観光白書によると、2014年（平成26年）の国際観光客到着数は初めて年間11億人を突破し、2年間で500万人の増加。話題のひとつであり、“爆買い”と評される中国人の買物額は、観光客総額の四分の一を占めるほどに。中国政府が国内消費を促進するために中国国内に免税店の増設を計画するなど、旋風の余波まで起こっています。
この背景には、観光地の新たな観光資源の掘り起こしも。東京だけでなく、北海道ニセコ町では、オーストラリア人が火をつけたスキー人気を、外国人職員を活用した積極的な誘客でさらにアップ。徳島県祖谷地区では、『千年のかくれんぼ』というキャッチフレーズを設けた秘境感がヒットするなど、地方のユニークな観光ブランド化もインバウンド増加を支えているのです。
さらに国交省は先ごろ、複数の観光地をテーマやストーリー性でひとまとめにした外国人旅行者向けの「広域観光周遊ルート」を全国7地域に認定しました。「昇竜道」（中部）「美の伝説」（関西）「温泉アイランド九州」（九州）など、ネーミングだけでも魅力的ですね。2020年のオリンピックに向け、全国各地でさらなる工夫や努力が行なわれることでしょう。
知っているはずの日本ですが、既存のものにも新たな切り口を設けると、新たな輝きが生まれることってありますね。日本の魅力を外国人の方たちだけに味わってもらうのはもったいない。この夏休みは自分なりに日本を再編集、再発見する旅へ。日本をインバウンド気分で旅する計画でも立ててみてはいかがですか。
First Posted : 2015.7.15 on "clover&"
