家事&暮らしニュースサロン

vol.17

 誰でもいつかは買い物弱者 暮らし学舎。 前田真理

二人で暮らす両親が80代となった最近の私の気がかりは、父がいつまで運転できるのだろう?ということ。安全性の心配もさることながら、住んでいる団地には既に商店がなくなっており、運転ができなくなると、日々の買い物にも不自由するであろうことは目に見えているからです。同じような気がかりを抱えている方、いらっしゃいますよね。
鹿児島市内に住んでいる両親に対してでさえ心配しているのですから、人口減が大きい地域に住む高齢者やその家族の不安はどれほどだろうと思います。

先ごろ、ローカル線・銚子電鉄では、「買い物電車」の運行を発表。年明けまでにスタートする見込みです。「買い物電車」って、なんだか楽しい響きがありますね。これは、客が本社に注文した日用品などを、最寄駅で受け取る仕組み。駅からの宅配にも応じるほか、駅に野菜や魚を売る市場を設ける予定とか。これまで電車やタクシーを利用して遠方まで日用品の買い物に出かけざるを得なかった人にとって朗報でしょう。

国も生活のしづらさを危惧。流通機能や交通網の弱体化とともに、食料品等の日常の買い物が困難な状況に置かれている人々のことを「買い物弱者」とし、日本全国には現在700万人の買い物弱者がいると推計しています。2010年と比較して100万人増という状況から、厚生労働省、国土交通省など複数の省庁で支援事業を実施。「買い物電車」は、経済産業省の補助金を得て登場したものです。このほか各地で、移動店舗、買い物代行、宅配、店舗での他社商品受け取りなどのサービスなどが生まれていますが、地域によって必要なサービスが違う、高齢者にはネット利用のハードルが高い、などの理由から効率的な事業展開は難しく、まだまだ知恵を出し合う必要がありそうです。

買い物弱者というと、農村や山間部を思いがちですが、少子高齢化が進む中、大都市やベッドタウンでも顕著になってくるはず。「買い物」は、必要なモノを買うだけでなく、人との繋がりや精神的な充足も生みます。代行や簡易化だけでは解決できないこともあるでしょう。人口減が進む中、近場で生活に必要なサービスが揃うコンパクトシティへの住替えは、遠くない未来に迫っているかもしれません。

First Posted : 2015.6.3 on "clover&"

PROFILE

前田真理

フリーランスライターの傍ら、「暮らし学舎。」を主宰。
家のコトを家族や仲間とシェアして、幸せ感ある心地よい暮らし方を見つけよう!と活動中。
暮らしに関する講座を開くほか記事やFacebookで情報発信している。
「暮らし学舎。」FBは、https://www.facebook.com/kurashigakusya

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