家事&暮らしニュースサロン

vol.15

 子どもの声よ、快音になぁれ 暮らし学舎。 前田真理

まだまだ体に馴染まない制服やかばん、おぼつかない足取りで登園・登校する子どもたちの賑やかな声が聞こえます。思わず「がんばれ」と声援を送りたくなる季節ですね。

4月1日、東京都では環境確保条例の改正が施行され、「騒音」規定から子どもの声が除外されることとなりました。
しかしこれは、東京都では子どもの声が騒音に含まれていたということで、逆に驚きです。「何人(なんぴと)も規制基準値を超える騒音を発生させてはならない。」という条文があることから、騒音の源として子どもも含まれていたのですね。
今回の改正で、就学前の子どもや、子どもと共にいる保護者の発する声や音は除外されることになりました。

確かに近年、子どもの声を巡るトラブルは、各地の保育園、学校など、子どもが多数集まって長時間とどまるような施設周辺で起きており、訴訟にもなっています。子どもの声がうるさいという主張と、子どもの成長過程には必要だという主張とで論争になっていたのです。ドイツでも同様の論争がありましたが、2011年、今回の東京と同じく、子どもの騒音への特権付与を採択しました。

私は15年ほど前、短期間ながら東京に暮らしました。鹿児島にはない子どものための充実した施設があり、素晴らしいなぁと思う反面、物理的にも心理的にも子ども連れで行ける場所と行けない場所があって、大人と子どもが住み分けられている町なのだなぁ、と感じていたものです。

大人の快適さには子どもが邪魔になることはよく理解できます。逆に幼い子どもを抱えた人ほど感じるのかもしれません。一方で、シーンと静まり返った住宅地に、子どもの声が一声響くだけで、私はなんだか心があったまるような、希望の光を感じます。

最近サスティナビリティという言葉をよく耳にしませんか? 環境やエネルギーにおいて使われることが多いのですが、持続可能な地球社会を作ろうとする学術です。しかし、環境や生産活動を持続可能にしようにも、肝心の人が持続可能でなくて何の意味があるのか?とも思います。
子どもを育める世の中、子どもの声を快音とする町であってこそ、人の暮らしはサスティナブルではないのかしら?

First Posted : 2015.5.7 on "clover&"

PROFILE

前田真理

フリーランスライターの傍ら、「暮らし学舎。」を主宰。
家のコトを家族や仲間とシェアして、幸せ感ある心地よい暮らし方を見つけよう!と活動中。
暮らしに関する講座を開くほか記事やFacebookで情報発信している。
「暮らし学舎。」FBは、https://www.facebook.com/kurashigakusya

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