家事&暮らしニュースサロン

vol.9

 その安全と安心の正体は? 暮らし学舎。 前田真理

昨年末、日経BPコンサルティングは、「食の安全安心企業ブランド調査2014-2015」の結果を発表しました。これは、食に関わる主要ブランドの「安全・安心」イメージ訴求状況について調べたもの。利用度・安心度・イメージなど7つの指標で調査。結果は、1位サントリー、2位キューピー。3位はカゴメ。昨年の中国産鶏肉事件が影響を与えたマクドナルドは、大きくポイントを下げました。

 

ところで、日本では、いつからこれほど「安全・安心」が問われるようになったのでしょう。

振り返れば、平成13年には狂牛病(BSE)が、14年には中国産冷凍ホウレンソウに残留農薬の検出と牛肉偽装事件が。そして、15年には食品安全基本法が制定されました。

このころから、「食の安全・安心」が謳われるようになり、次第に食品以外の工業製品にも使われるように。さらに平成23年の福島第一原発事故により、放射能汚染も懸念事項に加わりました。

しかし、この「安全・安心」の広がりと時を同じくして、わずかな誤りも過度に糾弾される世の中になったと思うのは私のうがった見方でしょうか。

 

多用される「安全・安心」ですが、実は今ひとつ不明確です。生産者の大変な努力があることは無論です。しかし、例えば食品においては、輸入と比較して国産が安心というイメージが浸透しつつあるものの、国産に輸入と同程度のサンプル検査が行なわれているわけでもなく、根拠には乏しく思えます。

「安全・安心」とは何なのか? そして消費者はどこまでを求めるのか? 改めて考えてみる必要があるかもしれません。

 

「安全・安心」と並んで使われるフレーズに「顔が見える」というものもありますね。この二つから見えてくるのは、「信頼感」でしょうか。しかしそれは、消費者が生産者へ一方的に求める信頼感のよう。

平成20年の国民生活白書に「消費者市民社会」という概念が取り上げられました。これは消費者・生活者の行動を通して、公正な市場、社会的価値の創出、心の豊かさを実現する社会のこと。とされています。これからは、生産者と消費者の間で、双方向の信頼を育てる時代ではないかなぁと思ったりもするのです。

First Posted : 2015.2.4 on "clover&"

PROFILE

前田真理

フリーランスライターの傍ら、「暮らし学舎。」を主宰。

家のコトを家族や仲間とシェアして、幸せ感ある心地よい暮らし方を見つけよう!と活動中。

暮らしに関する講座を開くほか記事やFacebookで情報発信している。

「暮らし学舎。」FBは、https://www.facebook.com/kurashigakusya

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