登山ガイドの資格を持ち、仕事でもプライベートでも登山三昧の荻野なずなさん。大学でワンダーフォーゲル部に入ったことがきっかけで、いまの仕事を選んだという荻野さんに、登山の魅力や登山を始めるにあたってのアドバイスなどを聞きました。
専門学校で、登山ガイドの資格を取得
— 荻野さんのいまのお仕事内容について教えてください。
荻野♣ 登山用品・アウトドア用品専門店「好日山荘」に入社して5年目。店舗でのクライミングジムのインストラクターや販売などを経て、いまは本社の販売促進部で登山学校チームに所属し、登山関係の講座やイベントなどの企画をしています。講座では、講師を務めることもあります。
— ガイドの資格をお持ちなんですね。
荻野♣ はい。大学は教育学部で、小学校の先生になろうと思って教員免許を取りました。が、大学でワンダーフォーゲル部に入って、その活動をしているうちに山に関係する仕事がしたくなって。それで卒業してから、山の専門学校に行ったんです。そこで登山ガイドの資格を取りました。
ガイドの資格にもいろいろありまして、主に自然ガイド、登山ガイド、山岳ガイド。そのうち私が取得したのは登山ガイドで、登山道のあるところを案内できるというものです。ちなみに山岳ガイドになると、岩登りだったり雪山だったり、要するに登山道のないところも案内できるというもので、かなり高度な資格です。
どちらも学校に通わないと取得できないわけではないんですが、私は経験が浅いし、ロープを使うなどいろいろな項目があって、ひとりでは対応できないな、と。山岳会に入って教わるという手もありますが、どこの山岳会に入ったらいいかもわからないし、きちんと学校に通って学んだほうが、安心感があったんです。
南アルプスに登って、感動!
— 登山をはじめたきっかけは?
荻野♣ 両親がキャンプや旅行などが好きで、よく家族で出かけていました。登山というよりはキャンプ場に行ってハイキングとか、そんな感じ。
でも、それからずっと登山をしていたというわけではなく、たいていの人がそうだと思うんですが、小学校の高学年くらいからはだんだん親と行動を共にしなくなり…。中学・高校はバスケ部で、忙しくしていました。だから、子どものころからずっと登山をしていたというわけではありません。
— スポーツはお好きだったんですね。
荻野♣ そうですね。でも、いま思えばバスケはあまり向いていなかったかもしれません。それで、大学に入ったときに、時間に少し余裕もできるだろうし、一生続けられる趣味が持ちたいな、と思ったんです。それが、登山だった。
子どものころ、親に連れていってもらって楽しかった記憶があったのはもちろん、勝ち負けがないスポーツだという点もよかったのかな(笑)。
登山ってブームの浮き沈みがあって、私が大学のワンダーフォーゲル部に入ったときはその底のほう。若者が少ない下火の時代だったんです。それで、先輩は4人いたんですけど、私のあとからは誰も入ってこなくて。4年間ずっと下っ端でした。
— ワンダーフォーゲル部では、どのあたりの山に登っていたんですか。
荻野♣ 丹沢や奥多摩あたりが中心でしたが、あるとき南アルプスの北岳に登ったんです。暗いうちにテント場を出て登り、頂上でご来光を見たときは感動しましたね。そのときの体験が、山の魅力をもっとたくさんの人に知ってほしいという思いになり、いまの仕事につながっているのかもしれません。
好きな山は六甲山
— 荻野さんの考える山の魅力とは?
荻野♣ 登山は行く山、歩くコースを選べば、誰にでも楽しめるのがいいところ。人それぞれ楽しみ方がいろいろありまして、そこが魅力だともいえますね。
百名山をひとつずつ制覇していく楽しみだという人もいるし、頂上まで行かなくても山でごはんを食べるのが楽しみだという人もいるし、家族で楽しむ人もいるし。
— 荻野さんの場合は?
荻野♣ やっぱり下山後のビールと温泉ですかね(笑)。というのは冗談で、景色や山で食べるごはんが楽しみです。
— どんなごはんを?
荻野♣ いろいろ作りますが、これからの季節はやっぱり鍋かな。山で温かいものを食べるって、最高ですよ。
— お好きな山はありますか。
荻野♣ 会社の本社が神戸市の三宮にあるので、埼玉県の実家を出て、いまは関西で暮らしています。ですので、仕事でもプライベートでも、六甲山に登ることが多いですね。
一年中歩けるし、道がすごくたくさんあるので、沢登り、岩登り、いろいろ楽しめます。お近くの方はぜひ登ってみてください。
*登山ガイドの資格を持ち、仕事でもプライベートでも登山を楽しんでいる荻野さん。これから登山を始めたい人、登山を始めてみたもののもう一歩踏み出せないでいる人へのアドバイスは後編で。
撮影協力=好日山荘 池袋西口店
First Posted : 2015.11.16 on "clover&"