「そとごはんスタイリスト」として、簡単・気軽なそとごはんスタイルを提案している風森ひのこさん。外で作るのも持っていくのも、どちらでもOK。「おいしい! 楽しい! からぜひ、そとでごはんを食べてみて」という風森さんに話を聞きました。
簡単、気軽なレシピを開発
— そとごはんスタイリストとして、どんな活動をされていますか。
風森♣ 主にレシピの開発です。そとでごはんを食べるのってこんな感じだよ、ということを知ってもらうために、雑誌やテレビ、ラジオなどでご紹介することが多いですね。またケータリングも手がけていて、そちらはオリジナルデザインのパッケージを含めてご提案・販売しています。
— そとごはんとふつうのごはん、レシピの違いは何ですか。
風森♣ 私が提唱するそとごはんは、「そとで食べよう」ということがメインですので、外で作って食べるものもあれば、家で作って持っていくものも。
どちらにしても気軽に「そとごはん」してもらいたいので、簡単、気軽を心がけてレシピを書いています。手に入りにくい食材は使わないようにしたり、できるだけ工程を省いたり。調理道具や調味料もできるだけ少ないほうがいいですし。
そのほか、外で作るレシピの場合は、もうひとひねり。たとえば、ふつうパスタは鍋で麺をゆでてからお湯を切って、フライパンで炒めたりするじゃないですか。それをひとつ鍋でできるように、つまり水を少なくしてゆでて、味付けまでその鍋の中でやってしまうとか。
あと、外だと鍋や皿など水洗いできず、ふき取るだけですませることが多いので、油分も極力少なめにするなどの工夫もしていますね。
イタリアンレストランで調理師修業
— どのような経緯で、いまの活動を始めたのですか。
風森♣ 本業は、画家なんです。グラフィックデザインの学校を出て、デザイナーとしても仕事をしています。
もともと中学生のころから、いつか暮らしをテーマにしたお店を持てたらいいな、という夢がありました。料理とか小物とか創作品とか、いろいろなものがいっしょにあるようなお店。
それでデザイン学校時代に、じゃあ調理師免許をとらなきゃと、新宿のイタリアンレストランでアルバイトを始めたんです。でも、学校を卒業する時点ではまだ、調理師免許の試験を受けるための実務経験が足りなかったんですね。それで、就職はせずにアルバイトを続けることに。
絵を描いたり、デザインの仕事をしたりしながら、4~5年はキッチンの仕事を続けましたかね。その後、デザインと食をからめての活動や、ケータリングの依頼があれば引き受けたりしながら、だんだんといまの活動につながってきた感じです。
本の出版が契機となって
— そとごはんスタイリストとは、珍しい肩書きですね。
風森♣ そとごはんスタイリストと名乗り始めたのは、4~5年前でしょうか。
一人でキャンプや登山をしたり、山で一人分のごはんを作って食べたりということ自体は、ずいぶん前から楽しんでいたんです。そのうちに、7年くらい前にアウトドアブームが始まり、山ごはんの本を作らないか、と声がかかって。出版準備中に、肩書きが「画家」だとしっくりしないね、ということになって出版社と相談し、「そとごはんスタイリスト」という肩書きを考えたんです。
— 本の出版を機に、仕事の幅は広がりましたか。
風森♣ ええ。山、ごはん、などで検索すると名前が出てくるので、いろいろな媒体の方からご連絡いただくことが増えました。いまでもデザイナーとして仕事はしているんですが、どんどん「そとごはんスタイリスト」として仕事をする場面が多くなり、ここ2~3年は半々くらい。私としてもそとごはんの魅力を世に広めたいと思っているので、この状況は大歓迎です。
*調理師としての経験を生かし、そとごはんのレシピを開発するなど「そとごはんスタイリスト」として活動中の風森さん。風森さんにとってのそとごはんの魅力とは? 後編にて!
First Posted : 2015.9.24 on "clover&"