「みんなで作ってみんなで食べる」をテーマに、アウトドア料理も手がけるNPO法人HOTNETキッチン。理事のひとりである高橋克さんは、得意の料理の腕を生かして、メニューの考案や買い出しなど中心となって活動しています。「キッチンを家から外へ!」と語る高橋さんと同法人の代表理事である石田美弥子さんに、HOTNETキッチンの活動やアウトドア料理の魅力について聞きました。
必ずみんなが料理に参加する決まり
— 高橋さんが参加されているNPO法人HOTNETキッチンとは、どんな団体なのですか。
高橋♣ HOTNETキッチンは「みんなで作ってみんなで食べる」をテーマに活動しているNPO団体です。キッチンを家から外へ! ということで、アウトドア料理もメインの活動のひとつ。
アウトドア料理というと、よくあるのがバーベキューで、料理や火おこしが得意な人が担当しがちですよね。でも、私たちの活動は、バーベキューより少し本格的な料理で、必ずみんなが参加して片づけまでやるというのが決まりです。
— 具体的には、どんな活動を?
高橋♣ 毎年、春には東京都中央区の築地川公園、秋には東京奥多摩の軍畑(いくさばた)の川沿いの施設で、子どもからお年寄りまでいろんな世代の人が集まって、「みんなで作ってみんなで食べる」イベントを開催しています。このイベントは人気で、下は3~4歳から上は70代まで、だいたい20~30人は集まりますね。
そのほか、アウトドアではないんですけれども、マンションの集会室だとかいろいろなキッチン施設をお借りして、というイベントも随時開催。また、いまは災害時に役立つようにキッチン設備を備えた公園づくりを提案していこうと考えていまして、そのためにいろんな調査なども行なっています。
インテリア関係の研究会からスタート
— そもそもHOTNETキッチンの成り立ちは?
石田♣ 新宿にあるリビングデザインセンターOZONEがオープンしたのが1994年。それを機にOZONEにて日本のシステムキッチン設計の第一人者・黒田秀雄さんを座長とする「日本人にとってのキッチン空間を考える」という研究会がスタートし、建築士・インテリアコーディネーターとして私もそこに参加しました。
その研究会では、食とコミュニケーションを基本にグループ研究を開始。アウトドアは当初からのテーマで、奥多摩のほうの川沿いなどでバーベキューをしたりしていました。HOTNETキッチンは、その研究会が母体となったもので、1995年から活動を始めたんです。
そんなわけで、メンバーはインテリア関係の人間がほとんどなので、実は料理は素人。5年ほど前に料理が得意な高橋さんが入会してくださってから、料理のレベルがあがりました(笑)
— 高橋さんは、どのような経緯でHOTNETキッチンに加わったのですか。
高橋♣ 私は最近まで、OZONEにあるショールームに勤めていました。ガス暖炉とガスコンロをPRするためのショールームで、炎の良さを伝えるというのがテーマ。あるとき石田さんに、ガスコンロの新製品について勉強会を開いてくれないかと頼まれまして。そのあとすぐにアウトドアキッチンのイベントに誘っていただき、面白そう! と参加したのがご縁で会員になりました。
イベント企画で料理の腕がぐんぐん上がり…
— 高橋さんは、料理のプロでいらっしゃるのですか。
高橋♣ 実家が居酒屋で、学生時代から料理の仕事をしたいなとは思っていたんですけど、大学を出て就職したのは一般企業の営業事務。その後、1年半ほどパン教室の講師などを経験しましたが、ガス会社の関連会社に転職したときも、営業事務としての入社でした。
でも、ずっと料理は好きで、いろいろな先生のところに習いに行ったりしていたので食に関する知識はそれなりにあったんですね。社内で食に関するイベントをやれそうな人ということで声がかかり、住宅展示場やマンションなどでの食のイベントの企画を担当するように。メニューを考えて、誰でも作れるようにレシピを整えて、ということを独学でやっているうちに、どんどん腕は上がりました(笑)。
そもそもイベント会場はある意味、アウトドアクッキング。場所によっては水場もないところで料理しなければならないので、その経験はHOTNETキッチンの活動に生きています。
*得意の料理の腕を生かし、HOTNETキッチンの活動を楽しんでいる高橋さん。後編では、アウトドアで楽しめるメニューやその魅力についてお話しいただきます。
First Posted : 2015.8.24 on "clover&"