*前編では、永山さんがこの仕事に就くまでの経緯や、姿勢療法のコンセプトなどをうかがいました。ここからは、実際に姿勢をチェックしていただきながら、“姿勢美人”になるためのコツをうかがいましょう。
ちょっとしたコツで姿勢はよくなる。枕が合ってないとシワのもと!
— からだが硬くて……(苦笑)こんなにからだが硬くても姿勢は治りますか? 以前ぎっくり腰をやったこともあります。
永山♣ ぎっくり腰の経験がある方は、まっすぐ前屈しているつもりなのに、斜めに傾いた前屈になってしまいます。少し内股もありますね。実は内股は簡単に治るんですよ。太ももの内側に内転筋という筋肉があるんですが、内股だけでなくO脚やX脚の方も、この内転筋を全然使っていないんです。ここに意識を向けてキュッとするだけ。歯磨きをするとき、通勤時間に電車で立っているときなど、毎日少しずつやるだけで脚の形はキレイになります。下腹部にも力が入るので腰痛予防にもなりますよ。
永山♣ 次はこちらで仰向けになってみてください。顎や鎖骨の位置が中心からかなりズレてますね。寝るときに枕を首の下に当てて寝るといいですよ。枕が合ってないと、寝ているときに顎が下がって首のシワの原因にもなります。
— 睡眠中の姿勢も大切なんですね。
永山♣ 睡眠中にからだを休めてあげなければいけないのに、枕が合ってないと全然休息にならない。それが肩こりや頭痛、疲労の原因になるんですね。
良い姿勢の条件は、すべての関節が常に動くこと
永山♣ 健康に必要な五大要素は「運動、食事、休息、姿勢、ポジティブシンキング」なんですが、この5つで五角形を描くと中に丸い円がかけます。その円が本人の持っているエネルギーと考えて、このエネルギーを大きな丸にしてあげることが私たちのテーマです。どれが欠けても円が大きくならない。姿勢だけがよくても、睡眠不足だったり、食事をきちんととっていない、運動をあまりしていない、だとダメなんです。ポジティブシンキングも大事。ここに来れば元気になれる、そんな場所を提供していきたいと考えています。
— いい姿勢の条件って何ですか
永山♣ 姿勢科学において“良い姿勢”の定義は、すべての関節が正常に動いていることです。動いているから普通に生活していれば、姿勢は必ずどこか歪むんです。よくS字カーブの背中がいいと言いますが、ずっと固定しておくわけにはいかないですよね。動いているうちにどこかが固くなって、ある関節の動きが鈍くなると、他の動いている関節に負担がかかってバランスが崩れてしまう。そのバランスを調整するお手伝いをしています。
長く通ってくださる方は、まるでエステに通うように、いい状態をキープするために来てくださるんですね。運動や生活習慣改善はついサボリがちになっていまいますし、何もしないと姿勢は戻ってしまいますから。通っている方が痛くなってから来ると、お説教することもあるんですよ。怒られたくて来る方もいるみたいです(笑)。ときどき、私はお客様のおかあさんみたいだなって思うこともあります。
忙しい女性でも細切れ時間の積み重ねが、きれいをキープする
— アドバイスや施術はチームで行っているんですか。
永山♣ オープン当初は私ひとりでやっていたのですが、いまはチームでみています。施術はスタッフに任せて、私は姿勢の分析や施術計画を立てたり全体をみることが多いですね。例えば腰や肩が痛い、といっても単に姿勢の問題ではなく、婦人科系の疾患で病院に行かなければならないこともありえます。そういう判断は病理学を勉強しないとできないので、私がずっと病理学を学んでいます。解剖学はスタッフ全員が学んでいます。
カイロプラクティックなどのボディワークの仕事は、海外ではほとんどがドクター資格ですが、日本では国家資格ではないものが多いんです。だからいま姿勢科学を学ぶ大学のコースを作ったり、国家資格認定に向けての活動もしています。
— 最後に、忙しい世代の女性に向けてメッセージをお願いします。
永山♣ お子さんがいらっしゃったり、なかなか自分の時間が作れない方が多いですよね。有酸素運動がいい、といってもウォーキングやランニングもなかなかできない、とおっしゃる方も。でも姿勢が悪いままウォーキングやランニングをしても逆効果です。先ほどの話のように歯磨きの時間に内ももの筋肉をキュッとしめたり、お子さんのお迎えの時間にからだの動きを意識しながら歩いたり、すきまの時間を効率よく使ってみてください。その小さな積み重ねが、姿勢を改善してキレイを維持することにつながりますよ!
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First Posted : 2014.8.25 on "clover&"