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vol.13

 ドリームガールズ 上原千都世
あらすじ
1962年のアメリカ、デトロイト。黒人女性コーラスグループ「ドリーメッツ」のディーナ、エフィー、ローレルは、ライブハウスのオーディションでスカウトされ、地元の人気スターのバックコーラスとしてツアーに参加することになります。その後、独立して「ザ・ドリームズ」としてデビュー、一気にスターダムに躍り出ます。ところがプロデューサーの強引なやり方にエフィーが不満をつのらせ、メンバー間の溝も深まっていくのでした。

スターを夢見る女性3人が、時代を代表するスーパースターになるまでに歩んだ成功と挫折、そして再生までを描く波乱万丈の物語。ブラック・ミュージックの大スター、ダイアナ・ロスが在籍したボーカルグループ“シュープリームス”の実話を基にした、大ヒットミュージカルの映画化です。

何年も一緒にがんばってきたディーナ、エフィー、ローレルの3人。けれど次第に環境やお互いの意識も変わり、歌でつながれていた絆が次第にほころびていきます。スターとして3人を売り出すためのプロデューサーの強引な戦略では、3人の気持ちは置き去りに。パワフルなブラック・ミュージックから白人受けするポップでスマートな音楽への路線変更、歌唱力よりルックス重視のリードボーカル変更、恋愛が絡み気持ちはさらにスレ違い、ついにエフィーはグループを離れてしまいます。

「この世の中、捨てたもんじゃない。目をしっかり見開いてチャンスさえつかめば」。これは劇中歌の歌詞です。自分を貫き不器用な生き方しかできなかったエフィーと、時代の波に乗り大スターになっていったディーナ。ふたりの女性の姿から、女性の幸せな生き方、チャンスの活かし方についても大いに考えさせられます。エフィー役のジェニファー・ハドソンは当時、新人ながら演技と圧倒的な歌唱力が絶賛され、アカデミー賞助演女優賞を獲得。まさに「ドリームガール」を体現しています。

盗作を巡る騒動など、華やかなショービジネスの裏側にも興味をそそられます。そして何といっても歌やステージが圧巻! 希望と野心、葛藤、そして栄光と挫折、再起へかける長年の想いが、パワフルな歌に乗って心の奥まで響いてきます。ジェニファー、そしてディーナを演じたビヨンセらのエネルギッシュなパフォーマンスは鳥肌が立つほど。音楽の力で問答無用のパワーをもらえる作品です。

First Posted : 2015.1.6 on "clover&"

作品情報
監督・脚本:ビル・コンドン
出演:ジェイミー・フォックス/ビヨンセ・ノウルズ/エディ・マーフィ/ジェニファー・ハドソン
〔2006年/アメリカ/2時間10分〕

PROFILE

上原千都世

ライター、コラムニスト。
エンターテイメント情報誌「weeklyぴあ」映画担当を経てフリーに。エンタメ界での経歴、子育てなどの経験を活かして現在は「エンタメ・暮らし・子ども」などをキーワードに雑誌・書籍・web問わず執筆。「こども映画プラス」 「ウレぴあ総研」などに寄稿。

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