vol.1
かもめ食堂 上原千都世フィンランドのヘルシンキに、日本人女性サチエが営む「かもめ食堂」がありました。オープンから1か月、お客様はまだゼロですが、サチエは毎日、丁寧にテーブルを拭き食器を磨き、お客様を待っています。そんなある日、日本かぶれの青年がお店にやってきます。ついに初めてのお客さんが! その日をきっかけに、コーヒーを淹れるのがやたらうまいおじさん、ワケありのご婦人、荷物を無くした日本人女性……など、かもめ食堂にどんどん人が集まってくるのでした。
フィンランドという異国の地で、和食中心の食堂を営む日本人女性サチエと、そこに集まってくる人々の日常を描く、ほのぼの、ゆったりムードが心地よい作品です。
何と言っても食べ物がおいしそう! おにぎり、肉じゃが、コーヒーにシナモンロール……。網でシャケを焼くだけなのに、なぜあんなにおいしそうなのでしょうか。
北欧のキッチングッズやファッションにも注目です。柄×柄など、オシャレ上級者でも難しそうなコーディネート、大胆な柄の洋服やテーブルウェアなどを見ているだけで楽しくなります。
店を手伝ってくれるミドリが、お客が来ないのを心配してあれこれ提案してくれるのですが、サチエは「まじめにやっていれば、そのうちお客さんも来るようになりますよ」と涼しい顔。変わらぬメニューに変わらぬ作業。食材を仕入れ、お店を開け、仕事が終わればプールで泳ぎ、ご飯を作り、合気道の「型」をして寝る。特別なことは何もない、毎日を淡々と過ごすサチエの全くブレない、それでいて肩ひじ張らない暮らしぶりは、観ていて気持ちがいいですね。
「この世が明日終わりだとしたら何を食べますか?」「やっぱり美味しいものが食べたいですね」というなにげない会話も心に響きます。
First Posted : 2014.7.8 on "clover&"